質問主意書

第173回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五号

我が国の温室効果ガス排出削減中期目標において基準年を一九九〇年とすることの是非に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年十月二十六日

浜田 昌良   


       参議院議長 江田 五月 殿



   我が国の温室効果ガス排出削減中期目標において基準年を一九九〇年とすることの是非に関する質問主意書

 鳩山総理は、今年九月二十二日、国連気候変動首脳会合における演説で、「一九九〇年比で言えば二〇二〇年までに二十五%削減」を目指すとの我が国の温室効果ガス排出削減の中期目標を発表した。これに対しては、国民の間に一部、懸念の声がある。
 ついては、特に中期目標の基準年を一九九〇年とすることの是非に関して、以下のとおり質問する。

一 京都議定書の約束期間終了後(二〇一三年以降)の国際枠組みにおいて、最大の課題は京都議定書に参加していない米国及び同議定書において排出削減義務を負っていない中国を責任ある形で参加させることであると考えるが、この両国が中期目標の基準年を二〇〇五年としているのに対し、あえて我が国が一九九〇年とする積極的理由を明らかにされたい。

二 鳩山総理は、今年九月七日の「朝日地球環境フォーラム二〇〇九」において民主党代表として行ったスピーチでは、中期目標の基準年について「一九九〇年比」としていたが、先の国連における演説では「一九九〇年比で言えば」(if compared to the 1990 level)と修正している。これは、今後、基準年を二〇〇五年とする選択肢に含みを持たせたということか、その理由を明らかにされたい。

三 中期目標の基準年を一九九〇年とした場合、これは、一九九〇年時点では省エネルギーが十分に進んでいなかった中東欧を抱え、かつ、英国、ドイツ等においても一九九〇年時点では石炭火力発電が主力であったという、いわゆる「EUバブル」を享受できるEUにとって都合のよい基準であり、クリーン開発メカニズム(CDM)や国際排出量取引等を今後行うこととなった場合においてEUに圧倒的に有利になるという懸念があることについて、どのように評価しているか。

四 基準年を一九九〇年とした京都議定書において、我が国は六%削減目標達成のため、政府調達分だけで一億トン(二酸化炭素換算、以下同じ。)分の京都メカニズム・クレジットを国費を投入して海外から購入することとしている。そこで、これまでの調達実績を見ると、その大半を地政学的・経済的にEUと関係の深いウクライナ(三千万トン)や、現在ではEUの加盟国となっているチェコ(四千万トン)など、本来EUが環境支援をしてもおかしくない国々から購入している状況にあり、しかも、その調達方法は、必ずしも相手国の温室効果ガスの排出削減に直接つながらないと指摘されているグリーン投資スキーム(GIS)になっていることについて、どのように評価しているか。

  右質問する。