質問主意書

第173回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四号

沖縄普天間代替基地移設先の考え方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年十月二十六日

浜田 昌良   


       参議院議長 江田 五月 殿



   沖縄普天間代替基地移設先の考え方に関する質問主意書

 沖縄普天間基地の代替基地としては、これまで、辺野古地区への移設を前提として、環境影響評価の手続きが進められており、平成二十一年十月十三日には仲井眞沖縄県知事から、防衛省が提出した環境影響評価準備書に対し、辺野古移設を前提とした上で、沖合移動の修正意見の提出もあったところである。しかしながら、鳩山総理は同月十六日、本移設先の結論を来年一月の名護市長選以降に先送りする意向を示したとの報道がなされており(平成二十一年十月十七日付読売新聞掲載)、沖縄県民だけではなく、国民全体に不安と批判の声が広がっている。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 民主党「沖縄ビジョン二〇〇八」によれば、「普天間基地の移転についても、県外移転の道を引き続き模索すべきである。」とあるが、鳩山内閣として「県外移転」を検討するという場合、現時点での在沖縄海兵隊定員一万八〇〇〇名のうち、いわゆるグアム移転協定により移転する司令部要員を除いた一万名の全員が県外移転するという考えか。それとも普天間基地関連部隊・人員のみを対象とするという考えか、その基本的考えを示されたい。また、このような海兵隊の「県外移転」の受入れを早期に合意できる自治体があると想定しているのか。想定しているのであればその候補を示されたい。

二 本年七月十六日に当時の民主党岡田幹事長に提出されたと報道されている民主党の有志による普天間基地の嘉手納統合案についての政府の見解を示されたい。その際、本統合案については、十三年前にすでに検討され、その過密状況から那覇空港の民間機が高度六〇〇メートル以下、嘉手納基地の米軍機がそれ以上という飛行高度で分けた航空管制をとらざるを得ないという現状からも問題との報道(平成八年七月三十日付琉球新報掲載)があったが、その事実関係及び現状の評価について示されたい。

三 一に記した在沖縄海兵隊定員のうち引き続き沖縄に在留することとなっている定員一万人分の海兵隊の前方展開能力を確保するためには、普天間代替基地は少なくとも、県内移設で対応せざるを得ないと考えられる。仮にこの点を無視して県外移設を行った場合、鳩山政権においては、もはや日米安保条約において、通常兵器による拡大抑止も期待しないと考えていると思わざるを得ないが、この点に関する見解を示されたい。

四 在日米軍基地の在り方については、住民意思の尊重は言うまでもないことであるが、すでにSACO合意から十三年もの間議論され日米間で合意をした問題を凍結し、かつ、一国の安全保障にかかわる問題を時の内閣が判断せず、移設先自治体の名護市長選まで先送りをするという報道やそれを軌道修正したという報道がある。その真偽は何れであるか。また、先送りするというのであればその合理的理由について明確に示されたい。その上で、当該市長選がどのような結果になった場合に、これまで日米政府間で合意していた辺野古地区への移設案を破棄するのかについて方針を示されたい。

五 普天間基地の現状を見ると、一日たりとも早く移転を実現する必要があると考える。鳩山内閣の関係閣僚が何人も現地視察をしながら結論を明確にしないのは、問題の早期解決を願う住民の心情に照らし、甚だ不適切であると言わざるを得ない。この問題が地域住民の安全にとって喫緊の課題であるという認識について政府はどう考えているのか。また、住民のために明確な移設時期を示す必要があるが、少なくともいわゆる日米ロードマップに明記された移設期限である二〇一四年より遅れることがないと断言できるのか。この点に関し、平野官房長官は鳩山政権として遂行できるかどうかも含めて検討している旨の発言をしている一方、鳩山総理は移設期限を先送りしない旨の発言をしている。鳩山内閣としては二〇一四年の移設期限を先送りしないとの見解を持つものと解して良いか。

  右質問する。