質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第二三七号

内閣参質一七一第二三七号
  平成二十一年七月二十一日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員近藤正道君提出独立行政法人国際協力機構による海外投融資の再開に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員近藤正道君提出独立行政法人国際協力機構による海外投融資の再開に関する質問に対する答弁書

一について

 開発途上国の経済発展には、公的部門のみならず、民間部門の果たす役割が極めて重要であり、開発途上国の開発における課題に係る国際社会の議論においても、民間活動の促進等によりもたらされる経済成長が貧困削減にとって重要であるとの認識が高まっている。
 このような認識の下、開発に寄与する経済活動を行う民間企業と協働し、開発途上国の開発の効果を高めるために、関係省において過去の実施案件の成功例・失敗例等を十分研究・評価し、きちんとした執行体制を確立し、関係省によるチェック体制を整備した上で、独立行政法人国際協力機構(以下「JICA」という。)の海外投融資業務を実施することとしたところである。
 また、本件は社団法人日本経済団体連合会、社団法人日本貿易会、社団法人関西経済連合会等の民間団体からも強い要望があったものである。
 なお、行政の無駄を排除することは重要な課題であり、今後とも徹底して無駄を排除していく考えである。

二について

 平成二十年四月に発表した「成長加速化のための官民パートナーシップ」に基づく取組を着実に進めていくが、一方、民間との意見交換を踏まえれば、開発効果は高いが民間だけではリスクが高くそのままでは採算が取れないような案件に対応するためには、JICAが行う海外投融資業務(以下「海外投融資業務」という。)を実施することが必要であると考えている。

三から五まで及び七について

 海外投融資業務については、「経済財政改革の基本方針二〇〇九」(平成二十一年六月二十三日閣議決定。以下「基本方針二〇〇九」という。)に基づき、きちんとした執行体制を確立し、関係省によるチェック体制を整備した上で実施することとしており、そのために、現在、過去の実施案件の成功例・失敗例等の研究・評価を行っている。また、実施までに、政府開発援助に知見を有する非政府組織の代表を含む外部の有識者の意見を徴することとしている。
 したがって、「意思決定はあまりにも拙速である」との御指摘は当たらないものと考える。

六について

 海外投融資業務は、開発効果は高いが民間だけではリスクが高くそのままでは採算が取れないような案件を対象とし、政府開発援助として行われるものであり、その目的は、開発途上国の経済成長及び貧困削減である。

八から十一までについて

 今後、関係省において行う海外投融資業務の実施の検討に当たっては、企業関係者のみならず政府開発援助に知見を有する非政府組織の代表を含む外部の有識者の意見を徴する場を設け、その内容は原則公開する考えである。政府としては、外部の有識者の意見も踏まえつつ、基本方針二〇〇九に基づき、海外投融資業務について、早急に過去の実施案件の成功例・失敗例等を十分研究・評価し、本年秋を目途にJICA・関係省を中心に協議の上、きちんとした執行体制を確立し、関係省によるチェック体制を整備した上で実施する考えである。