質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第二二七号

内閣参質一七一第二二七号
  平成二十一年七月十四日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員姫井由美子君提出裁判員制度下の性犯罪被害者の保護に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員姫井由美子君提出裁判員制度下の性犯罪被害者の保護に関する質問に対する答弁書

一について

 刑事手続において性犯罪の被害者に関する情報を保護するために講じられてきた立法措置としては、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成十九年法律第九十五号)により、裁判所が性犯罪等の被害者の氏名等を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をするなどの措置を採ることができることとされたこと、検察官が証拠開示をする際に弁護人に対して被害者の氏名等が被告人その他の者に知られないようにすることを求めることができることとされたこと等があり、これらが適切に運用されることが重要であると考えている。

二について

 平成二十一年五月二十一日から同年六月三十日までの間に起訴された裁判員裁判対象事件のうち、強制わいせつ致死傷罪、強姦致死傷罪、集団強姦致死傷罪、強盗強姦罪(未遂を含む。)により起訴されたものは、把握している限りで、二十八件であると承知している。

三及び四について

 性犯罪事件等被害者のプライバシー保護を図る必要性が高い事件については、各裁判所は、裁判員等選任手続において、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成十六年法律第六十三号。以下「裁判員法」という。)第十七条及び第十八条の不適格事由該当性の判断のための必要性と被害者のプライバシーを保護する必要性との双方を勘案して、裁判員候補者に対する当該事件の被害者を特定する事項の提供の方法及び程度を慎重に検討し、提供する情報や対象者を、右不適格事由該当性の判断をするために必要最小限の範囲に限定するとともに、当該事項を告げた裁判員候補者に対し、これを筆記したり口外したりしないよう求めるなどして、適切に対処されるものと承知している。

五について

 裁判員法第三十四条第一項の規定により、裁判員等選任手続において、裁判長は、裁判員候補者が、裁判員法第十七条各号に掲げる者に該当しないかどうか、不公平な裁判をするおそれがないかどうか等の判断をするため、必要な質問をすることができることとされているところ、裁判員候補者に対して被害者の氏名等を告げて質問をすることがそのような判断をするために必要か否かについては、個々の事案における具体的事情に応じて判断されるものと考えているが、三及び四についてで述べたとおり、各裁判所において適切に対処されるものと承知している。