質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第二二四号

内閣参質一七一第二二四号
  平成二十一年七月十日

内閣総理大臣臨時代理           
国務大臣 河村 建夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員藤末健三君提出特別職公務員の守秘義務に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出特別職公務員の守秘義務に関する質問に対する答弁書

一の(一)から(三)までについて

 内閣総理大臣、国務大臣、副大臣、大臣政務官、内閣官房副長官及び内閣法制局長官については、官吏服務紀律(明治二十年勅令第三十九号)第四条第一項の規定の適用があると解されており、同項においては「官吏ハ己ノ職務ニ関スルト又ハ他ノ官吏ヨリ聞知シタルトヲ問ハス官ノ機密ヲ漏洩スルコトヲ禁ス其職ヲ退ク後ニ於テモ亦同様トス」と規定され、また、これらのうち内閣総理大臣、国務大臣、副大臣(内閣官房副長官を含む。)及び大臣政務官については、「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」(平成十三年一月六日閣議決定)1(8)において「職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。(中略)これらについては、国務大臣等の職を退任した後も同様とする。」と規定されており、これらの規定に違反した場合の罰則は定められていない。
 内閣危機管理監、内閣官房副長官補、内閣広報官、内閣情報官及び内閣総理大臣補佐官については、内閣法(昭和二十二年法律第五号)第十五条第四項、第十六条第三項、第十七条第三項、第十八条第三項及び第十九条第四項において、それぞれ国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百条第一項を準用することとされ、同項において「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」と規定されており、この規定に違反した場合の罰則は定められていない。
 「宮内庁幹部職員」の意味するところが必ずしも明らかではないが、宮内庁長官及び侍従長については、官吏服務紀律第四条第一項の規定の適用があると解されており、同項においては「官吏ハ己ノ職務ニ関スルト又ハ他ノ官吏ヨリ聞知シタルトヲ問ハス官ノ機密ヲ漏洩スルコトヲ禁ス其職ヲ退ク後ニ於テモ亦同様トス」と規定され、東宮大夫、式部官長及び侍従次長については、「宮内庁における特別職の職員の服務、勤務時間等に関する内規」(昭和六十一年宮内庁長官決裁)第5の1において「特別職職員は、職務上又は職務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また同様とする。」と規定されており、これらの規定に違反した場合の罰則は定められていない。
 特命全権大使及び特命全権公使については、外務公務員法(昭和二十七年法律第四十一号)第四条第一項において国家公務員法第百条第一項を準用することとされ、同項において「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」と規定されており、この規定に違反した場合の罰則は、外務公務員法第二十七条において「第四条において準用する国家公務員法第百条第一項又は第二項の規定に違反して秘密を漏らした者及びこれらの項の規定に違反する行為を企て、命じ、故意にこれを容認し、そそのかし、又はそのほう助をした者は、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。」と規定されている。
 特定独立行政法人の役員については、独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第五十四条第一項において「特定独立行政法人の役員(中略)は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。」と規定されており、この規定に違反した場合の罰則は、同法第六十九条の二において「第五十四条第一項の規定に違反して秘密を漏らした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」と規定されている。

一の(四)について

 お尋ねの「欧米各国の同等の身分」が何を指すのか必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。

二及び三について

 特別職に属する官職は極めて多岐にわたっており、お尋ねの「守秘義務に関する規定の軽重」や「守秘義務とその違反に対する罰則に関する法的根拠を設けることの長所、短所」について一概にお答えすることは困難であるが、特別職の守秘義務に関する規定については、必要に応じて、個別に措置されているところである。
 なお、お尋ねの「欧米各国制度と法的根拠に違いがある場合はその理由、歴史的背景」については、承知していない。