第171回国会(常会)
答弁書第一九四号 内閣参質一七一第一九四号 平成二十一年六月十二日 内閣総理大臣 麻生 太郎
参議院議長 江田 五月 殿 参議院議員加賀谷健君提出裁判員制度における性犯罪被害者に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員加賀谷健君提出裁判員制度における性犯罪被害者に関する質問に対する答弁書 一について 犯罪被害者等への支援については、二次的被害の問題も含め、犯罪被害者等基本法(平成十六年法律第百六十一号)に基づき、「犯罪被害者等基本計画」(平成十七年十二月二十七日閣議決定)を策定して、府省庁横断的な対策が講じられてきたところであり、裁判員等選任手続を含めた刑事手続の過程においても、性犯罪の被害者を含めた関係者の名誉やプライバシーには十分配慮する必要があるものと認識している。 二及び三について 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成十六年法律第六十三号)において、裁判員候補者に守秘義務は課せられていないが、性犯罪事件等被害者のプライバシー保護を図る必要性が高い事件については、各裁判所は、裁判員等選任手続において、同法第十七条及び第十八条の不適格事由該当性の判断のための必要性と被害者のプライバシーを保護する必要性との双方を勘案して、裁判員候補者に対する当該事件の被害者を特定する事項の提供の方法及び程度を慎重に検討し、提供する情報や対象者を、右不適格事由該当性の判断をするために必要最小限の範囲に限定するとともに、当該事項を告げた裁判員候補者に対し、これを筆記したり口外したりしないよう求めるなどして、適切に対処されるものと承知している。 四について 裁判員等選任手続における被害者の個人情報の取扱いは、個々の事案における具体的な情況に応じて判断されるべき事柄であるから、各裁判所における個別的な判断にゆだねざるを得ないものと承知している。 五について お尋ねについては、個別具体的な事件の捜査・公判にかかわる事柄であり、お答えを差し控えるが、検察当局においては、裁判員制度の下においても、性犯罪の被害者を含めた関係者の名誉やプライバシーには十分配慮していくものと承知している。 六について 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第二百九十条の二等の規定は、裁判所が性犯罪等の被害者の氏名等を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をするなどの措置を採ることができることとするものであり、他方、裁判員等選任手続は公開しないこととされていることなどから、御指摘のように「整合性を欠く」ということはないものと考えている。 七について 裁判員制度における性犯罪の被害者に対する配慮の在り方等については、裁判員制度の実施状況や、被害者を始めとする関係各方面の意見を踏まえつつ、今後更に検討してまいりたい。 |