質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第一六九号

内閣参質一七一第一六九号
  平成二十一年五月二十六日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員松野信夫君提出与党提出「水俣病の被害者の救済及び水俣病問題の最終解決に関する特別措置法案」と汚染者負担原則に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員松野信夫君提出与党提出「水俣病の被害者の救済及び水俣病問題の最終解決に関する特別措置法案」と汚染者負担原則に関する質問に対する答弁書

一について

 汚染者である法人が、被害者への補償を始め、汚染防除費用、環境復元費用及び被害救済費用を負担する責任を果たした場合に、当該法人が解散することを容認する法案又はスキームは、汚染者負担の原則を逸脱するものではないと考える。

二について

 お尋ねのチッソ水俣病問題における環境復元については、御指摘の「水俣湾公害防止事業」において、「底質の処理・処分等に関する暫定指針について」(昭和四十九年五月三十日付け環水管第百十三号環境庁水質保全局長通知)及び「底質の暫定除去基準について」(昭和五十年十月二十八日付け環水管第百十九号環境庁水質保全局長通知)に基づき適切な処置がなされ、現在では、水俣湾の水質及び底質ともに環境保全上問題のない状態に維持されていると承知している。
 水俣湾埋立護岸の改修又は補修工事が必要となった場合には、その時点において当該工事に係る費用負担についての検討がなされるものと考える。公害防止事業費事業者負担法(昭和四十五年法律第百三十三号)の適用についても、その時点での状況に照らし合わせて適切に判断がなされるものと考える。

三について

 汚染者負担の原則は、汚染者が被害者への補償などに係る必要な費用を負担するというものであり、最終的に汚染者が必要な費用を負担するのであれば、汚染者が被害者に対して直接に費用を支払うことまでは必ずしも求められていないと考える。したがって、お尋ねのような国等が被害者へ補償を行った後に汚染者に補償に係る費用を求償するとの仕組みについては、汚染者から国等への支払が事後となることから、当該支払が確実に担保される仕組みが必要であると考える。