質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第一六六号

内閣参質一七一第一六六号
  平成二十一年五月二十六日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員紙智子君提出アイヌ民族の歴史・言語等施策の拡充に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員紙智子君提出アイヌ民族の歴史・言語等施策の拡充に関する質問に対する答弁書

一の1及び2について

 学習指導要領については、これまでおおむね十年ごとに見直され、昨年三月に小学校学習指導要領(平成二十年文部科学省告示第二十七号)及び中学校学習指導要領(平成二十年文部科学省告示第二十八号)、本年三月に高等学校学習指導要領(平成二十一年文部科学省告示第三十四号)等を公示したところであり、次回の改訂時期は未定であるが、社会の変化、児童生徒の状況等を踏まえつつ、将来的に中央教育審議会において、御指摘の点を含めた幅広い観点から、専門的な審議が行われるものと考える。

一の3について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、小学校、中学校、高等学校等における各教科の授業においては、学習指導要領に基づき、文部科学大臣の検定を経た教科用図書等を使用した上で、多様な教育活動を行うことが可能である。また、教員による教材や授業に関する研究等についても、幅広い活動を行うことが可能である。

一の4について

 御指摘の札幌市の公立小学校における「アイヌ文化を学ぶ時期の変更」は、文部科学省の指導によるものではなく、また、北海道教育委員会の指導によるものでもないと承知している。また、学習指導要領においては、各学校において地域の実情等に応じた教育課程を編成することとしている。

一の5について

 文部科学省としては、アイヌ文化の教育に携わっている教員からの要望については、今後、教育委員会等を通じて、把握してまいりたいと考えている。

一の6について

 小学校学習指導要領においては、「外国語活動」について、英語を取り扱うことを原則としている。

二の1について

 全国の大学、研究機関及び博物館におけるアイヌ民族に関する研究については、御指摘の北海道大学アイヌ・先住民研究センターをはじめ、北海道立アイヌ民族文化研究センター、財団法人アイヌ民族博物館等の様々な機関で取組が行われているものと認識しているが、その全容については、必ずしも把握されていないため、平成二十一年度予算に計上された「アイヌ文化に関する研究の推進・連携等体制構築の検討」に要する経費も活用しつつ、適切な実態把握に努めてまいりたい。

二の2について

 文部科学省においては、毎年度、大学における教育内容等について定期的な調査を実施しているところであり、個別の調査項目については、御指摘の「アイヌ語・アイヌ研究」等に関するものも含め、その必要性等を検討してまいりたい。

二の3について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、文部科学省としては、公立学校の教員は、地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第二十六条の二の規定に基づく任命権者の承認又は教育公務員特例法(昭和二十四年法律第一号)第二十六条の規定に基づく任命権者の許可を得た場合等には、大学等に在学してアイヌ民族に関する講義を受講することも可能であると考えている。各教員が受講している講義の内容については、把握していない。
 また、教職大学院においてはアイヌ民族についての講義は行われておらず、夜間の大学院においてアイヌ民族についての講義が行われているか否かについては把握していない。それぞれの大学院における講義内容の実態把握については、今後ともその必要性等を検討してまいりたいと考えている。

二の4について

 財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構が行っているアイヌ語指導者育成事業に対する要望については、まずは同機構においてアイヌ民族関係者の意見を踏まえ検討すべきものと考えている。
 また、放送大学におけるアイヌ語に係る授業科目の開設についても、同大学において判断されるべきものと認識している。