質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第一三七号

内閣参質一七一第一三七号
  平成二十一年四月二十四日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員松野信夫君提出汚染者負担原則に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員松野信夫君提出汚染者負担原則に関する質問に対する答弁書

一について

 昭和五十一年三月十日に中央公害対策審議会(当時)から答申された「公害に関する費用負担の今後のあり方について」においては、汚染者が負担すべき費用について、汚染防除費用のほか、環境復元費用や被害救済費用についてもこれに含めるべきとされている。政府としても、環境基本法(平成五年法律第九十一号)等において、その考え方を採り入れているところである。

二について

 公害健康被害の補償等に関する法律(昭和四十八年法律第百十一号)に規定する補償給付及び公害保健福祉事業は、汚染者負担の原則を踏まえたものである。

三について

 御指摘の「患者県債」の発行は、汚染者負担の原則を踏まえて、チッソ株式会社が「水俣病認定患者」に対して「補償協定」に基づく補償金(以下単に「補償金」という。)を支払うことを、国及び熊本県として確保するために行った措置である。

四について

 御指摘の水俣湾における公害防止事業に係る公害防止事業費及びチッソ株式会社の負担総額は、公害防止事業費事業者負担法(昭和四十五年法律第百三十三号)に規定する手続にのっとり、当該事業の施行者である熊本県知事が、熊本県公害対策審議会の意見を聴いて定めたものであるが、これらの額は、汚染者負担の原則を踏まえつつ、港湾機能の増加分、現存港湾施設の価格減耗分等も考慮し算定されたと承知している。

五について

 御指摘の貸付けは、チッソ株式会社が、汚染者負担の原則にのっとり水俣病問題が生ずる原因となったメチル水銀の排出をした者としての社会的責務を認識して、「水俣病対策について」(平成七年十二月十五日閣議了解)に係る一時金(以下単に「一時金」という。)を支払うことを、国及び熊本県として確保するために行った措置である。

六について

 お尋ねについては、一時金の支払後にチッソ株式会社の財務状況が悪化したことから、同社が補償金を支払うために必要な措置として、民間金融機関の債権放棄等を前提に、一時金に係る国庫補助金の返還を不要としたものである。

七について

 水俣病関西訴訟最高裁判決(平成十六年十月十五日)においては、国及び熊本県が、チッソ株式会社に対する損害賠償請求が認容された者のうち一定の条件を満たす者に対し、同社が支払義務を負う額の四分の一を限度に同社とともに賠償責任を負うことが確定したが、このことは、同社が命じられた損害賠償額全額に対する支払義務に影響を及ぼすものではない。