質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第一〇二号

内閣参質一七一第一〇二号
  平成二十一年四月十日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員松野信夫君提出裁判官の非行と報酬等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員松野信夫君提出裁判官の非行と報酬等に関する質問に対する答弁書

一について

 国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)の規定により裁判官に支払われる退職手当は、憲法第八十条第二項に規定する報酬に含まれないものと解される。

二について

 裁判官弾劾法(昭和二十二年法律第百三十七号)第四十一条において、罷免の訴追を受けた裁判官は、本人が免官を願い出た場合でも、弾劾裁判所の終局裁判があるまでは、その免官を行う権限を有するものにおいてこれを免ずることができない旨規定されている。また、「訴追請求及び弾劾裁判所による裁判が進行している間は当該裁判官の辞任を受理してはならない旨の法律を制定すること」については、その意義が必ずしも明らかでないため、お答えすることは困難である。

三について

 「訴追請求及び弾劾裁判所による裁判を裁判官の任期よりも優先させること」の意義が必ずしも明らかでないため、お答えすることは困難である。なお、憲法第八十条第一項において、下級裁判所の裁判官の任期は十年とする旨規定されており、その任期を満了し裁判官の身分を喪失した者を弾劾裁判により罷免することはできないものと考えられる。

四について

 「罷免までは至らないより軽度な非行の場合に、弾劾裁判所において罷免よりも軽微な裁判を行う制度を法律によって新設すること」の意義が必ずしも明らかでないため、お答えすることは困難である。なお、一般に、弾劾裁判所が裁判官に対して懲戒処分を行うものとすることについては、憲法第六十四条第一項において、国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける旨規定されていること、憲法第七十八条後段において、裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行うことができない旨規定されていること等に照らして、慎重な検討を要するものと考えている。