質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第一〇一号

内閣参質一七一第一〇一号
  平成二十一年四月十日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員谷博之君提出障害の範囲の国際比較に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員谷博之君提出障害の範囲の国際比較に関する質問に対する答弁書

一について

 先の答弁書(平成二十年十二月十二日内閣参質一七〇第一二一号)四の2についてでお答えしたとおり、「障害者の権利に関する条約」(仮称)(以下「条約」という。)の実施に当たり、条約第一条の規定を踏まえつつ、いかなる範囲の者を「障害者」と位置付けて施策を講じるかについては、各国の判断にゆだねられていると考える。
 また、各法令においていかなる範囲の者を「障害者」と位置付けて施策を講じるかについては、当該法令の趣旨及び目的に照らして決定されており、現行法令における「障害者」の範囲が、条約の目的や理念、憲法第十四条に反するとは考えていない。

二について

 政府としては、条約が障害者の人権及び基本的自由の享有を確保する上で重要な意義を有しているとの認識の下に、二千七年九月に条約の署名を行って以降、可能な限り早期の締結を目指して所要の作業を進めており、その際に、障害者を始めとする関係者の方々との間で緊密な意見交換を行い、様々な御意見を参考とさせていただいてきている。
 なお、障害者施策については、その基本的方向を定めている「障害者基本計画」(平成十四年十二月二十四日閣議決定)において、障害者関係団体との意見交換等を通じて施策・事業の有効性についての検証を行い、効果的かつ適切な施策・事業を実施することとしているところである。

三について

 御指摘の経済協力開発機構(以下「OECD」という。)が二千三年に発行した文書に示されているOECD各国の障害者割合の調査は、同文書によれば、回答者が公的に障害者であると認定されているか否かにかかわらず、主観的に自身を障害者ととらえている場合にはこれを障害者として算定することを前提として行われたものである。他方、障害者白書に掲載している障害者数は、障害者の基準を設定し、調査員が当該基準に基づき調査対象者が障害者に該当することについての確認等を行った上で実施している身体障害児・者実態調査、知的障害児(者)基礎調査、社会福祉施設等調査及び患者調査に基づいて計上しているものである。
 このように、両者は調査の対象である障害者の認識に関する方法が異なるため、その結果を単純に比較すべきものではないものと考えられる。

四について

 御指摘のOECDの文書が示している国際比較の係数については、各国が提出するデータの範囲が必ずしも一致しないこと等から、各国の障害者施策に関する支出の水準をどの程度正確に比較したものであるかが必ずしも明らかではないと考えているが、いずれにせよ、政府としては、我が国の障害者施策について必要な予算を確保してきているところであり、今後とも、障害者基本計画等に基づき、障害者のニーズに対応して総合的かつ適切な支援を行ってまいりたい。