質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第八八号

内閣参質一七一第八八号
  平成二十一年三月二十七日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員大河原雅子君提出介護保険制度における要介護認定の改定と介護予防事業に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員大河原雅子君提出介護保険制度における要介護認定の改定と介護予防事業に関する質問に対する答弁書

一の1について

 御指摘の研究事業は、平成十八年度の老人保健健康増進等事業において実施された「新たな高齢者の心身の状態の評価指標の作成及び検証に関する調査研究」を指すものと考えるが、同研究においては、認定調査員が要介護認定に係る調査項目(以下「認定調査項目」という。)に掲げられた選択肢を選択する際の基準に関する研究が行われ、新基準の原案が作成されたが、当該原案に基づく認定結果と現行基準に基づく認定結果の比較等の研究は行われていない。その後、平成十九年度の老人保健健康増進等事業において実施された「要介護認定調査の質向上を目途とし作成された新マニュアルと旧マニュアルとの相違に関する検討事業」において、八十六名を対象とし、要介護認定の二次判定結果の比較を行ったところ、現行基準に基づく判定より重度に判定された者が約二十一パーセント、軽度に判定された者が約十一パーセントとなっている。

一の2について

 お尋ねの平成二十年度に実施した要介護認定モデル事業(以下「第二次モデル事業」という。)は、一次判定におけるコンピュータ判定ソフトの変更が同判定結果に及ぼす影響及び二次判定における介護認定審査会(以下「審査会」という。)の審査用資料の変更が同判定結果に及ぼす影響について、検証を行うことを目的とするものであり、認定調査項目の選択基準の変更を同時に行った場合には、これらの検証が困難となることから、選択基準の変更を行わず第二次モデル事業を実施したものである。

一の3について

 今般の要介護認定の見直しにおいては、現行の認定調査項目のうち、主治医意見書により代替可能な十項目を除外したところであるが、第二次モデル事業においては、当該項目について主治医意見書に実際にどのように記載されているかの調査は行っていない。
 また、介護保険制度における主治医に対する研修については、厚生労働省が作成した実施要綱に基づき、都道府県及び政令指定都市が実施しているところであるが、当該研修の参加者数は、平成十二年度が二万八百三十名、平成十三年度が一万六千五百五十二名、平成十四年度が一万九千二百八十三名、平成十五年度が一万五千二百二十二名、平成十六年度が二万三千二百三十名、平成十七年度が二万九千百五十一名、平成十八年度が二万二千四百三十五名、平成十九年度が二万二千七十六名である。
 なお、厚生労働省としては、当該研修については、平成二十一年度も実施する予定であるが、今般の要介護認定の見直しも踏まえ、主治医意見書の記載についての研修を適切に行うよう、改めて、都道府県等に対し要請することとしている。

一の4について

 お尋ねの「自立(介助なし)」という文言については、介助の方法についての質問項目であるにもかかわらず申請者の能力についての質問項目と誤解されるおそれがあることから、その見直しを行ったものであるが、その見直しと併せて、介助されていない理由や介助が不足している状況を認定調査票の特記事項に記載することとしており、申請者の状態を踏まえた、より適切な判定がなされるものと考えている。

一の5について

 お尋ねの日常生活自立度の組合せによる要介護度別分布、要介護度変更の指標、状態像の例については、これらを参照して行った要介護認定等が適正なものになっていない事例が確認されていることから、今般の要介護認定の見直し後は、介護認定審査会における審査用資料として当該指標を提供しないこととしたものであり、これにより、より適正な認定が行われるものと考えている。

二の1について

 お尋ねの特定高齢者の候補者及び特定高齢者に関する取扱いについては、「地域支援事業の実施について」(平成十八年六月九日付け老発第〇六〇九〇〇一号厚生労働省老健局長通知。以下「局長通知」という。)において定めており、その変更は、局長通知の改正により行うこととなる。
 御指摘の三月十三日付け事務連絡については、平成二十一年四月から地域支援事業の介護予防事業における特定高齢者の候補者及び特定高齢者に関する取扱いの変更等を行うに当たり、事業の実施主体である市区町村において混乱が起きることがないよう現時点の検討の方向性を示すために発出したものであり、今後、パブリックコメントにおいて寄せられた意見を踏まえ、特定高齢者の候補者及び特定高齢者に関する取扱いの変更等について、必要に応じ、更に検討を行った上で、局長通知の改正等を行うこととしている。

二の2について

 平成十八年度の介護予防特定高齢者施策の実施状況については、特定高齢者と決定された者の数が十五万七千五百十八人、通所型介護予防事業及び訪問型介護予防事業に参加した者の数が五万九百六十五人となっている。
 なお、平成十九年度の実施状況については、現在集計中である。
 また、基本チェックリストを実施した者の数及びこのうち特定高齢者の候補者となった者の数については、平成十八年四月一日から同年十一月三十日までの八か月間に基本チェックリストを実施した者の数が五百八十七万九千九百三十九人、このうち特定高齢者の候補者となった者の数が二十九万四千五百三十四人である。また、平成十九年四月一日から同年十一月三十日までの八か月間に基本チェックリストを実施した者の数が六百五十一万四千百八十三人、このうち特定高齢者の候補者となった者の数が百三十二万三千二百七十五人である。

二の3について

 平成十八年度の介護予防特定高齢者施策における各プログラムごとの参加者数は、運動器の機能向上プログラムについては、通所型介護予防事業及び訪問型介護予防事業で実施しており、それぞれ、二万六千八百九十一人、二千四十九人、栄養改善プログラムについては、通所型介護予防事業及び訪問型介護予防事業で実施しており、それぞれ、六千九百三十八人、四千九百八十三人、口腔機能向上プログラムについては、通所型介護予防事業及び訪問型介護予防事業で実施しており、それぞれ、八千二百十人、八百三十一人、閉じこもり予防・支援プログラムについては、訪問型介護予防事業で実施しており、三千百三十三人、認知症予防・支援プログラムについては、訪問型介護予防事業で実施しており、二千百三十四人、うつ予防・支援プログラムについては、訪問型介護予防事業で実施しており、二千五百人となっている。
 なお、平成十九年度の実施状況については、現在集計中である。
 各プログラムごとの実施効果については、各市区町村において検証を行っているところであるが、その結果については把握していない。