質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第八〇号

内閣参質一七一第八〇号
  平成二十一年三月十九日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員大河原雅子君提出照射食品に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員大河原雅子君提出照射食品に関する質問に対する答弁書

一の1及び3について

 御指摘の業務委託(以下「業務委託」という。)は、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会(以下「部会」という。)における審議のための資料として、食品安全行政の観点から、食品への放射線照射に関する科学的知見並びに世界各国の規制及びその運用状況、放射線照射食品に係る統計資料、我が国におけるニーズその他検討が必要と思われる情報を収集するものである。

一の2について

 お尋ねについては、部会において、御指摘の報告書も参考としつつ、食品安全基本法(平成十五年法律第四十八号)第二十四条第一項又は第三項の規定に基づく食品安全委員会の意見を聴取する必要性があるかどうかについての検討が行われることとなる。

一の4について

 お尋ねについては、毒性物質の生成、栄養成分の変化等をリスクプロファイル原案に盛り込むべき危害要因とすることについて、照射食品の検知法の専門家である国立医薬品食品衛生研究所食品部第二室長の助言を得たところである。

二の1について

 お尋ねについては、平成十八年九月に原子力委員会食品照射専門部会が取りまとめた報告書「食品への放射線照射について」において、「2-ドデシルシクロブタノンはDNAに障害を起こしたというデリンシーらの報告(一九九八、一九九九)がある」とされている。

二の2について

 お尋ねの「実験」とは、ラウルらが平成十四年にその結果を公表した実験を指すものと考えるが、そうであるとすれば、その内容は、発がん物質であるアゾキシメタンをラットに投与したところ、三か月後の観察では、当該ラットの飲料水に2-アルキルシクロブタノン類を混合していた群(以下「混合群」という。)については、混合していない群に比べ異常はなかったが、六か月後の観察では、混合群のみについて腫瘍数及び腫瘍サイズの増大が認められ、2-アルキルシクロブタノン類に発がん促進作用活性のあることを確認したものであると承知している。
 なお、当該実験については、米国の食品医薬品庁は、ラットの2-アルキルシクロブタノン類への暴露量が人の暴露量とされる値よりも三けた多いこと等から、2-アルキルシクロブタノン類の摂取ががんを促進すると信じるに足る理由を示す実質的な情報や信頼できる情報がないとしていることと承知している。

二の3について

 2-アルキルシクロブタノン類の毒性や発がん促進作用については、御指摘の報告を契機としてではなく、平成二年以降に着目されるようになったと承知している。

二の4及び5について

 御指摘のような実験報告、実験データ及び論文があるかどうかについては、承知していない。

二の6及び7について

 お尋ねの実験及び予算要求については、その必要性を判断できるだけの知見が得られていないことから、現時点においては行っていない。

二の8について

 御指摘の照射馬鈴薯に係る審議は、食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号。以下「法」という。)第七条第一項(現第十一条第一項)に規定する基準を設定することを直接の目的として、当該食品の安全性の評価も含めて行われたものであり、その資料の収集方法は、今回の業務委託において参考となるものではない。

二の9について

 御指摘のようなデータを部会における審議のための資料に加える必要があるかどうかについては、いまだ業務委託の報告書が提出されていないことから、現時点においてお答えすることは困難である。
 また、部会における審議のための資料については、これまでも必要と認めるものを用意するとともに、部会から資料の追加を要求された場合には、可能な限り対応することとしてきたところである。

三の1について

 御指摘のような資料は保有していない。

三の2について

 お尋ねの食中毒事件については、直近の五年間においては、法第五十八条第五項に規定する都道府県知事等からの報告は受けていない。

三の3について

 スパイスの定義としては、「食品衛生法等の一部を改正する法律による改正後の食品衛生法第十一条第三項の施行に伴う関係法令の整備について」(平成十七年十一月二十九日付け食安発第一一二九〇〇一号厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)の別添一において、「食品に風味付けの目的で比較的少量使用される種々の植物由来の芳香性樹皮、根、根茎、蕾、種子、果実、または果皮」であるアサの種子等六十品目をいうとされている。

四について

 放射線の線量及び重複照射の検査法はいまだ国際連合食糧農業機関・世界保健機関合同食品計画の実施機関であるコーデックス委員会に設置されている分析・サンプリング法部会において確立されていないことから、御指摘の事項を確認することは困難である。

五について

 食品衛生行政は飲食に起因する衛生上の危害の発生の防止を目的とするものであることから、御指摘のような基準については定めていない。

六について

 個別品目に対する照射の可否については、部会の審議結果も踏まえ、今後必要に応じて検討してまいりたい。