質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第七五号

内閣参質一七一第七五号
  平成二十一年三月十三日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員大久保勉君提出日本銀行、預金保険機構及び銀行等保有株式取得機構が保有する株式の議決権の行使に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員大久保勉君提出日本銀行、預金保険機構及び銀行等保有株式取得機構が保有する株式の議決権の行使に関する質問に対する答弁書

一について

 「株式買入等基本要領」(平成十四年十月十一日日本銀行政策委員会決定。以下「基本要領」という。)9.(1)にいう「本行の経済的利益を増大すること」とは、株式価値の増大や利益に見合った配当の実施等により日本銀行の経済的利益を増大させることをいうと聞いている。また、基本要領9.(2)にいう「株主の利益を最大にするような企業経営」とは、日本銀行に限らず、株主全体を考慮して、その総合的な利益を最大にするような企業経営をいうと聞いている。
 なお、具体的な議決権の行使については、基本要領に基づき日本銀行において「議決権行使の指針」(平成十四年十一月一日日本銀行政策委員会決定。以下「指針」という。)を定め、株式の管理の受託者が、これに基づき議決権を行使しているものと聞いている。

二について

 指針2.(2)の規定の内容は、指針2.(1)「本行の経済的利益の増大」という目的を達成するための手段として位置付けられていると聞いている。

三について

 指針4.は、株式の管理の受託者に対し、日本銀行の個別の指図を求めることなく議決権を行使することを前提とするガイドラインを定め、日本銀行の承認を得ることを求めるものであり、これは、日本銀行が企業経営に過度に関与しているとの疑念を持たれないようにする観点から、議決権行使に関し、株式の管理の受託者が日本銀行に個別の指図を求めることを排除する趣旨であると聞いている。

四について

 指針別表「役員等の選任」とは、取締役、会計参与、監査役等の選任をいい、社外取締役の選任の有無又は増減員も含まれると聞いている。

五について

 日本銀行が保有する株式の議決権行使の状況について、日本銀行が確認している範囲では、平成十七年四月から平成十八年三月までの間に株主権行使の基準日が到来した日本銀行が保有する株式の発行会社の株主総会の全議案のうち、賛成の割合は約九十二・三パーセント、反対又は一部反対の割合は約七・七パーセントであり、白紙委任、棄権又は不行使はない、平成十八年四月から平成十九年三月までの間に株主権行使の基準日が到来した日本銀行が保有する株式の発行会社の株主総会の全議案のうち、賛成の割合は約九十・○パーセント、反対又は一部反対の割合は約十・○パーセントであり、白紙委任、棄権又は不行使はない、平成十九年四月から平成二十年三月までの間に株主権行使の基準日が到来した日本銀行が保有する株式の発行会社の株主総会の全議案のうち、賛成の割合は約八十七・八パーセント、反対又は一部反対の割合は約十二・二パーセントであり、白紙委任、棄権又は不行使はないと聞いている。

六について

 預金保険機構の保有する旧日本長期信用銀行及び旧日本債券信用銀行から買い取った株式の議決権行使については、預金保険機構の「理事長談話(旧日本長期信用銀行及び旧日本債券信用銀行から買取った株式の当機構への一部移管について)」(平成十七年三月二日)の中でその方針が示され、株式の管理の受託者が、これに基づき議決権を行使しているものと聞いている。また、預金保険機構の保有する公的資本増強を行った金融機関等の株式の議決権行使については、「資本増強行に対するフォローアップに係る行政上の措置についての考え方の明確化について」(平成十三年六月十一日金融庁公表)及び「株主議決権行使の基本的な考え方」(平成二十年十二月二十二日預金保険機構理事会決定)に基づき、預金保険機構が議決権を行使しているものと聞いている。
 また、預金保険機構が保有する株式の議決権行使の状況について、預金保険機構が確認している範囲では、平成十八年九月から平成十九年六月までの間に開催された預金保険機構が保有する株式を発行している上場会社の株主総会の全議案のうち、賛成の割合は約九十七・四パーセント、反対又は一部反対の割合は約二・六パーセントであり、白紙委任、棄権又は不行使はない、平成十九年七月から平成二十年六月までの間に開催された預金保険機構が保有する株式を発行している上場会社の株主総会の全議案のうち、賛成の割合は約九十三・六パーセント、反対又は一部反対の割合は約六・四パーセントであり、白紙委任、棄権又は不行使はないと聞いている。なお、平成十七年七月から平成十八年八月までの間に開催された預金保険機構が保有する株式の発行会社の株主総会の議案、及び平成十八年九月から平成二十年六月までの間に開催された預金保険機構が保有する株式を発行している非上場会社の株主総会の議案に関しては、預金保険機構において計数として把握していないと聞いている。

七について

 銀行等保有株式取得機構(以下「株式取得機構」という。)の保有する株式の議決権の行使については、株式取得機構において「銀行等保有株式取得機構の議決権行使の基本的考え方」(平成十四年三月八日銀行等保有株式取得機構理事会決定)を定め、株式の管理の受託者が、これに基づき議決権を行使しているものと聞いている。
 また、株式取得機構が保有する株式の議決権行使の状況について、株式取得機構が確認している範囲では、平成十七年七月から平成十八年六月までの間に開催された株式取得機構が保有する株式の発行会社の株主総会の全議案のうち、賛成の割合は約九十九・八パーセント、反対又は一部反対の割合は約〇・二パーセントであり、白紙委任、棄権又は不行使はない、平成十八年七月から平成十九年六月までの間に開催された株式取得機構が保有する株式の発行会社の株主総会の全議案のうち、賛成の割合は約八十四・三パーセント、反対又は一部反対の割合は約十五・七パーセントであり、白紙委任、棄権又は不行使はない、平成十九年七月から平成二十年六月までの間に開催された株式取得機構が保有する株式の発行会社の株主総会の全議案のうち、賛成の割合は約八十一・七パーセント、反対又は一部反対の割合は約十八・三パーセントであり、白紙委任、棄権又は不行使はないと聞いている。

八について

 日本銀行が確認している範囲では、平成十九年四月から平成二十年三月までの間に株主権行使の基準日が到来した日本銀行が保有する株式の発行会社の株主総会における社外取締役に関する議案のうち、賛成の割合は約八十一・七パーセント、反対又は一部反対の割合は約十八・三パーセントであり、白紙委任、棄権又は不行使はないと聞いている。なお、平成十七年四月から平成十九年三月までの間に株主権行使の基準日が到来した日本銀行が保有する株式の発行会社の株主総会における社外取締役に関する議案に関しては、日本銀行において計数として把握していないと聞いている。
 預金保険機構が確認している範囲では、平成十八年九月から平成十九年六月までの間に開催された預金保険機構が保有する株式を発行している上場会社の株主総会における社外取締役に関する議案のうち、賛成の割合は約九十七・六パーセント、反対又は一部反対の割合は約二・四パーセントであり、白紙委任、棄権又は不行使はない、平成十九年七月から平成二十年六月までの間に開催された預金保険機構が保有する株式を発行している上場会社の株主総会における社外取締役に関する議案のうち、賛成の割合は約九十二・八パーセント、反対又は一部反対の割合は約七・二パーセントであり、白紙委任、棄権又は不行使はないと聞いている。なお、平成十七年七月から平成十八年八月までの間に開催された預金保険機構が保有する株式の発行会社の株主総会における社外取締役に関する議案、及び平成十八年九月から平成二十年六月までの間に開催された預金保険機構が保有する株式を発行している非上場会社の株主総会における社外取締役に関する議案に関しては、預金保険機構において計数として把握していないと聞いている。
 株式取得機構が確認している範囲では、平成十七年七月から平成十八年六月までの間に開催された株式取得機構が保有する株式の発行会社の株主総会における社外取締役に関する議案のうち、賛成の割合は百パーセントであり、反対、白紙委任、棄権又は不行使はない、平成十八年七月から平成十九年六月までの間に開催された株式取得機構が保有する株式の発行会社の株主総会における社外取締役に関する議案のうち、賛成の割合は約四十八・二パーセント、反対又は一部反対の割合は約五十一・八パーセントであり、白紙委任、棄権又は不行使はない、平成十九年七月から平成二十年六月までの間に開催された株式取得機構が保有する株式の発行会社の株主総会における社外取締役に関する議案のうち、賛成の割合は約三十九・○パーセント、反対又は一部反対の割合は約六十一・○パーセントであり、白紙委任、棄権又は不行使はないと聞いている。

九について

 日本銀行、預金保険機構及び株式取得機構の保有する株式について、株主に対する優待サービスが存在する場合には、株式の管理の受託者が可能な限り換金を行い、日本銀行、預金保険機構及び株式取得機構にそれぞれ配分していると聞いている。

十について

 日本銀行に在籍した経歴を持つ者に関するお尋ねの件については、日本銀行としては、同行が保有する株式の銘柄を明らかにすることとなる等のため回答できないとのことであり、政府として把握していない。
 また、預金保険機構及び株式取得機構に在籍した経歴を持つ者に関するお尋ねの件については、これらの機関では、これを管理する対象としていないため、把握していないと聞いている。