質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第六〇号

内閣参質一七一第六〇号
  平成二十一年三月三日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員谷岡郁子君提出学校における児童・生徒への健康教育の充実に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員谷岡郁子君提出学校における児童・生徒への健康教育の充実に関する質問に対する答弁書

一について

 文部科学省としては、メンタルヘルスに関する課題、アレルギー疾患、薬物乱用等の問題の解決を図るため、学校における健康教育はより一層重要となっていると認識している。
 養護教諭は、学校における救急処置、健康診断、疾病予防等の保健管理、保健教育、健康相談等の役割のほか、児童生徒の健康に関する課題への対応に当たり、学校内における学級担任、学校医等相互間の連携や学校と医療機関等との連携が円滑に行われるよう調整を図る役割を担うなど、重要な責務を担っているものと考えている。

二について

 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)附則第七条の規定は、同法制定当時の財政の状況及び養護教諭の人材確保の困難性にかんがみ、全国一律に養護教諭を必置とすることは、現実的に困難であるとの考えに基づいて設けられたものであるが、現在においても、引き続き、国・地方の財政の状況、へき地における養護教諭の人材確保の困難性等にかんがみ、小学校、中学校及び中等教育学校には、当分の間、養護教諭を置かないことができることとされているところである。
 このような現状から、同条に規定する「当分の間」の期間について、現時点において、具体的にお答えすることは困難である。

三について

 高等学校については、生徒が自主的に自らに関する保健衛生の充実向上を図ることができる発達段階に至っていることを考慮し、養護教諭を必置としていないものである。
 文部科学省としては、高等学校における生徒の健康に関する課題に対応するため、養護教諭の計画的な定数改善により、公立学校への養護教諭の配置の充実を図ってきているところである。また、退職した養護教諭をスクールヘルスリーダーとして養護教諭が配置されていない高等学校等に派遣し、生徒の健康に関する課題への対応について支援に当たらせる取組を推進しているところである。

四について

 幼稚園については、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とすることから、教諭が幼児の健康に配慮することを考慮し、養護教諭を必置としていないものである。

五について

 文部科学省としては、公立義務教育諸学校における養護教諭の定数については、平成十三年度から平成十七年度までに、児童生徒数に応じて算定される定数に加えて、百八十八人の定数改善を行っており、平成二十一年度予算においては、これに加えて、更に四十七人の定数改善を行うこととしているところである。このほか、公立義務教育諸学校についても、三についてで述べたスクールヘルスリーダーの派遣に関する取組を推進しているところである。

六について

 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(昭和三十三年法律第百十六号)第八条第二号に規定する養護教諭等の数の標準は、保健室における児童生徒に対する相談活動に適切に対応する必要があること等を総合的に勘案して定めたものである。

七について

 養護教諭の職務は高い専門性が求められることから、それにふさわしい知識技能を身に付けていることが必要であり、文部科学省としては、このような知識技能を身に付けていることを必要としていない養護助教諭を養護教諭として採用することができることとすることは困難であると考えている。

八について

 厚生労働省としては、都道府県等が児童相談所の職員を確保し、当該職員に対する研修を行うために必要な経費について支援しているところである。また、児童養護施設については、心理療法担当職員や家庭支援専門相談員の配置等の施設内における体制の整備が図られるよう必要な支援を行ってきたところである。
 さらに、学校、児童相談所、児童養護施設等の関係機関が虐待を受けた児童等の保護や支援を連携して行うことができるよう、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第二十五条の二第一項に規定する要保護児童対策地域協議会の設置を促進するとともに、その機能強化を図っているところである。