質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第五八号

内閣参質一七一第五八号
  平成二十一年三月三日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員谷岡郁子君提出同一価値労働同一報酬に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員谷岡郁子君提出同一価値労働同一報酬に関する質問に対する答弁書

一について

 我が国における男女労働者間の賃金格差(以下「男女間賃金格差」という。)については、おおむね縮小傾向にあるが、欧米諸国と比較すると依然として大きく、その縮小のためには、より一層の取組を進める必要があるものと認識している。
 具体的には、昇進等の機会の均等が十分に確保されていないこと等による職階の格差や出産等により離職する女性が依然として多いこと等により生じる勤続年数の格差といったことが男女間賃金格差の要因としてあると考えられることから、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)等に規定する義務を適切に履行するよう、事業主に対する指導等を行うとともに、女性のいない職務や役職へ女性を登用するといった、事実上生じている男女間の格差を積極的に縮小するための事業主の取組の推進や職業生活と家庭生活との両立を支援する施策の充実に取り組んでいるところである。
 また、男女間賃金格差の縮小のためには、個別の企業において労使が賃金管理の見直し等に取り組むことが重要であることから、「男女間の賃金格差解消のための賃金管理及び雇用管理改善方策に係るガイドライン」を作成するなど、その取組を支援するとともに、男女間賃金格差の現状やその変化を取りまとめた「男女間の賃金格差レポート」を定期的に公表し、男女間賃金格差の問題について、労使団体等に対する啓発を行っている。
 さらに、近年の男女間賃金格差の状況を把握するとともに、企業における賃金・雇用管理制度やその運用が男女間賃金格差に与える影響について分析し、男女間賃金格差縮小のためのより効果的な対応方策について検討を行うために、昨年六月より「変化する賃金・雇用制度の下における男女間賃金格差に関する研究会」を開催しているところである。

二について

 政府としては、平成二十年三月に公表された国際労働機関(以下「ILO」という。)の条約勧告適用専門家委員会の意見については、ILOに対する次回の政府報告において、我が国の立場を明らかにする予定である。

三について

 同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約(昭和四十二年条約第十五号)上においては、「同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬」を、「性別による差別なしに定められる報酬率」と定義しているところ、男女同一賃金の原則について定めた労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第四条は、同条約上の同一価値労働同一報酬の原則を反映しているものであると認識している。
 また、御指摘の委員会からの要請については、ILOに対する次回の政府報告において回答を行う予定である。

四及び五について
 御指摘の客観的職務評価については、性別等による差別なしに賃金を決定するための有用な方法の一つであると認識しているが、具体的な賃金制度の導入については、個別の企業における労使の議論を踏まえてなされるべきものであると考えている。
 また、お尋ねの職務評価に関する調査研究や情報収集については、現在、企業等において行われている職務評価の事例等の収集を行っているところである。