質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第五三号

内閣参質一七一第五三号
  平成二十一年二月二十七日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員川上義博君提出かんぽの宿等の売却に関する第三回質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川上義博君提出かんぽの宿等の売却に関する第三回質問に対する答弁書

一について

 今回の譲渡については、平成二十年一月二十五日から同年十二月二十二日までの間、日本郵政株式会社(以下「会社」という)から、売却手続の進捗状況に関する情報の提供はあったが、売却手法全般の妥当性を判断するに足る具体的な情報の提供はなかったことから、本年一月九日以降、総務省より会社に対し、数度にわたり聴取事項を提示し説明を求めた。しかし、これに対する回答内容が不十分であったため、本年二月四日、日本郵政株式会社法(平成十七年法律第九十八号)第十五条第一項の規定に基づく報告を求めたものである。

二について

 会社によると、ゆうぽうとの従業員は、それぞれ宮前平住宅、大倉山住宅及び五反田住宅に居住しているとのことである。
 会社によると、売却手続を進めていた時点では、メルパルクを担当している従業員は首都圏社宅九施設には居住しておらず、売却後に居住することも想定されていなかったが、今後は、その可能性を否定できないとのことである。いずれにせよ、首都圏社宅九施設を含む今回の一括譲渡の妥当性については調査を行う必要があると考えており、一についてで述べた会社からの報告の精査を含め、現在、調査を行っているところである。

三について

 会社によると、従業員(正社員及び期間雇用社員)の数は、かんぽの宿小樽は四十五人、かんぽの宿十勝川は五十三人、かんぽの宿一関は二十三人、かんぽの宿横手は二十七人、かんぽの宿松島は六十四人、かんぽの宿郡山は四十七人、かんぽの宿いわきは八十五人、かんぽの宿大洗は七十人、かんぽの宿潮来は七十六人、かんぽの宿塩原は四十七人、かんぽの宿栃木喜連川温泉は三十人、かんぽの宿草津は四十九人、かんぽの宿磯部は三十八人、かんぽの宿寄居は三十八人、かんぽの宿鴨川は六十六人、かんぽの宿旭は九十二人、かんぽの宿勝浦は二十人、かんぽの宿青梅は八十八人、かんぽの宿箱根は三十一人、かんぽの宿石和は二十四人、かんぽの宿柏崎は零人、かんぽの宿諏訪は十八人、かんぽの宿熱海は百四十六人、かんぽの宿修善寺は四十七人、かんぽの宿伊豆高原は百三人、かんぽの宿富山は五十六人、かんぽの宿山代は三十二人、かんぽの宿福井は二十八人、かんぽの宿焼津は四十人、かんぽの宿浜名湖三ヶ日は四十六人、かんぽの宿三ヶ根は二十四人、かんぽの宿知多美浜は三十七人、かんぽの宿恵那は四十一人、かんぽの宿岐阜羽島は四十一人、かんぽの宿鳥羽は三十九人、かんぽの宿熊野は二十九人、かんぽの宿彦根は百人、かんぽの宿舞鶴は零人、かんぽの宿富田林は八十六人、かんぽの宿大和平群は八十九人、かんぽの宿奈良は百三人、かんぽの宿白浜は五十二人、かんぽの宿紀伊田辺は八十人、かんぽの宿有馬は三十四人、かんぽの宿赤穂は百二十二人、かんぽの宿淡路島は二十人、かんぽの宿皆生は十七人、かんぽの宿美作湯郷は六十四人、かんぽの宿竹原は十七人、かんぽの宿光は二十五人、かんぽの宿湯田は八十人、かんぽの宿観音寺は五十四人、かんぽの宿坂出は十七人、かんぽの宿徳島は十九人、かんぽの宿道後は二十九人、かんぽの宿伊野は五十六人、かんぽの宿北九州は二十二人、かんぽの宿柳川は六十一人、かんぽの宿島原は零人、かんぽの宿別府は十六人、かんぽの宿日田は二十五人、かんぽの宿山鹿は二十一人、かんぽの宿阿蘇は七十一人、かんぽの宿日南は二十二人、那覇レクセンターは十八人、かんぽの郷酒田は五十二人、かんぽの郷白山尾口は零人、かんぽの郷庄原は零人、かんぽの郷宇佐は零人、ラフレさいたまは六人、本社宿泊事業部は八十七人、担当区域内における宿泊施設の業務の推進、連絡及び調整等を行うサポートセンターは六十五人とのことである。

四について

 規制改革・民間開放推進会議の「規制改革・民間開放の推進に関する第一次答申」(平成十六年十二月二十四日)において、お尋ねの「公的宿泊施設等」の定義や範囲は示されていないが、旧簡易生命保険法(昭和二十四年法律第六十八号)第百一条の加入者福祉施設(以下「かんぽの宿」という。)は、当時、日本郵政公社によって運営されており、一般論としては、公的宿泊施設に該当するものと考えている。

五について

 一についてで述べたとおり、平成二十年一月二十五日から同年十二月二十二日までの間、会社から売却手続の進捗状況に関する情報の提供はあったが、売却手法全般の妥当性を判断するに足る具体的な情報の提供はなかったため、売却中止、一時凍結等の指導は行っていなかったが、本年一月九日以降、現在の経済情勢の下で譲渡を行うことの妥当性等も含め、会社に説明を求めてきたところである。

六の1について

 「百七十五億円から二百二十億円まで」及び「百九十五億円から二百四十五億円まで」と二社が提示した根拠等については、一についてで述べた会社からの報告の精査を含め、現在、調査を行っているところである。

六の2について

 会社によると、会社が第二次入札の段階で譲渡対象事業に関する詳細な情報を開示したことから、第二次入札参加者が対象事業の詳細調査を行ったこと、及び、ゆうぽうと世田谷レクセンターが屋内外のスポーツ設備を中心とする施設であり、宿泊を中心とする他のかんぽの宿と施設の特徴が異なり、事業価値に直結するネットワーク性との関連が低いため、高い評価ができないとの考えが第二次入札に参加した二社より示されたことから、会社が同センターを譲渡対象から除外することとしたこと等の結果であると考えているとのことである。
 いずれにせよ、第一次入札から最終入札に至る入札手続については、途中で対象施設が変更される等、不明瞭な点があることから、一についてで述べた会社からの報告の精査を含め、現在、調査を行っているところである。

六の3について

 お尋ねの「五社はなぜ第一次入札への参加を認められなかったのか」及び「十五社がなぜ入札を行わなかったのか」については、一についてで述べた会社からの報告の精査を含め、現在、調査を行っているところである。

六の4について

 会社によると、かんぽの宿の「継続的な経営」について明確な期間の想定はしていなかったが、事業の発展的かつ継続的な運営を確保する手段の一つとして、事業譲渡に当たり会社分割により設立される新会社の株式、事業及び資産を、少なくとも二年間は、会社の承諾なく譲渡してはならないこととする条件を、第二次入札参加者に対して提示したとのことである。
 しかしながら、こうした考えを他の応募企業に周知していたかどうかを含め、詳細については不明瞭な点があることから、一についてで述べた会社からの報告の精査を含め、現在、調査を行っているところである。

七について

 お尋ねの「発案者」の意味するところが必ずしも明らかではないが、かんぽの宿を処分するようにとの指示を下したのは当時の竹中郵政民営化担当大臣である。
 また、かんぽの宿の日本郵政公社からの承継先については、かんぽの宿を譲渡又は廃止する際には雇用に配慮するとともに、これを譲渡又は廃止するまでの間に損失が生じた場合当該損失を処理する必要があり、こうした問題には日本郵政グループ全体で対応することが適切であると考えられることから、グループ全体の経営管理を行う会社としたものである。

八について

 沖縄県那覇市おもろまち二丁目に所在する土地について、平成十一年に当時の郵政省が取得した際の価格は、五十五億千二十五万円である。
 会社によると、会社のホームページにおいて公募を行い、十社から応募があったが、結果的に、入札額の提示は一社のみからであったとのことである。郵便局株式会社において、入札額を提示しなかった九社から聴取したところでは、建設費の高騰、不動産市況の悪化等により、十分な収益性が見込めなかったため、入札額の提示に至らなかったとのことである。

九について

 国営の金融機関が民営化された場合、諸外国においてどのような外資規制が行われているかについて、政府としては、承知していない。
 会社については、日本郵政株式会社法第二条の規定により、政府が、常時、会社の発行済株式の総数の三分の一を超える株式を保有していなければならないこと及び同法に総務大臣による監督規定を設けていることにより、会社の経営の安定、適正な業務の遂行を確保できると考えられるため、外資規制を行っていない。
 郵便事業株式会社及び郵便局株式会社については、会社にすべての株式の保有を義務付けており、外国資本を含め、会社以外の者が両社の株式を取得することはできない。
 郵便貯金銀行(郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)第九十四条に規定する株式会社をいう。以下同じ。)及び郵便保険会社(郵政民営化法第百二十六条に規定する株式会社をいう。以下同じ。)については、その経営の効率性を高めるため、会社法(平成十七年法律第八十六号)に基づく株式会社として設立されており、外国資本を含めた買収に対する防衛策については、必要に応じ、同法の規定を踏まえた対応が可能である。また、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(平成六年条約第十五号)附属書一Bのサービスの貿易に関する一般協定第十六条第二項の規定により、我が国は、金融サービスに関し外国資本の参加の制限を行ってはならない義務を負っている。以上のことから、郵便貯金銀行及び郵便保険会社に対し外資規制を行っていない。

十について

 政府としては、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の役職員が御指摘のアメリカの関係者と会談したことがあるかどうかについては、把握していない。