質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第五二号

内閣参質一七一第五二号
  平成二十一年二月二十七日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員藤田幸久君提出戦時中の連合国捕虜使役問題に関する第三回質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤田幸久君提出戦時中の連合国捕虜使役問題に関する第三回質問に対する答弁書

一の1について

 現在までの調査において、外交史料館に保管されている終戦前の外交記録の中に「麻生鉱業」が明記された文書及び御指摘の「一九四五年八月に河辺虎四郎陸軍中将がマニラで連合軍司令部に提出した文書」は確認されていない。

一の2について

 現在までの調査において、外交史料館に保管されている終戦前の外交記録の中に、「在敵国居留民関係事務室」が関係していると考えられる連合国側からの抗議に関する文書の一部が確認されている。

一の3について

 現在までの調査において、外交史料館に保管されている「終戦連絡事務局」が作成した捕虜に関する文書資料等として、連合国側からの抗議に関する「抗議事件関係資料」及び「終連管理部執務報告第一号」のうち「第四、俘虜抑留者」が確認されている。

二について

 お尋ねの主管部局については、事項の内容及び相手国等によって様々であるため政府として一概にお答えすることは困難である。

三の1について

 在豪州日本国大使館及び在豪州日本国総領事館が保管する豪州人元捕虜に関連する資料の中から、お尋ねの手紙等について網羅的に調査することは困難であるため、お答えすることは困難である。

三の2について

 お尋ねの「痛切な反省と心からのお詫び」については、我が国が、かつて、元捕虜を含め、旧連合国諸国を含む多くの国々の人々に対して多大の損害と苦痛を与えたことにつき、一般的に率直なお詫びの気持ちを表明したものであり、対象とする行為を特定したものではない。
 いずれにせよ、政府としての認識は、平成七年八月十五日及び平成十七年八月十五日の内閣総理大臣談話等において示されてきているとおりである。

三の3について

 先の答弁書(平成二十一年二月十七日内閣参質一七一第三六号)三の5についてでお答えしたとおりである。

三の4について

 お尋ねについては、一概に確定的なことを述べるのは困難である。

四の1について

 政府としては、御指摘の報道について、麻生外務大臣(当時)に報告されたかどうかは確認できなかった。

四の2について

 御指摘の事実を在豪州日本国大使館及び在豪州日本国総領事館が最初に認識した時期を確定的にお答えすることは困難であるが、例えば、平成十八年五月に旧麻生鉱業で労働していた豪州人元捕虜に言及した報道及び平成十八年七月に豪州人元捕虜のインタビューに言及した報道が、公電にて報告されている。

四の3について

 お尋ねの手紙については、現在対応を検討しているところであり、返書は送付していない。
 アーサー・ギガー氏からの手紙は内閣総理大臣官邸において接受したが、現在対応を検討しているところであり、これに対する返書は送付していない。

四の4について

 政府としては、お尋ねの文書については、麻生外務大臣(当時)が受け取ったことは確認できなかった。また、御指摘の「村松秘書」が、当時、お尋ねの文書を受け取っていたかについては政府としてお答えする立場にない。

五の1について

 お尋ねについては、一概に確定的なことを述べるのは困難である。

五の2について

 お尋ねの「連合国捕虜の供託金」の存在については、承知していない。

五の3について

 先の答弁書(平成二十一年二月十七日内閣参質一七一第三六号)八の3についてで述べたとおり、先の大戦に係る賠償並びに財産及び請求権の問題は、政府としては、日本国との平和条約(昭和二十七年条約第五号。以下「サンフランシスコ平和条約」という。)及びその他の関連する条約等に従って誠実に対応してきたところであり、これら条約等の当事国との間においては、お尋ねの点を含め、法的に解決済みである。

五の4について

 旧麻生鉱業における労働に対する労賃の支払状況については、政府としては承知していない。

五の5について

 お尋ねについては、一概に確定的なことを述べるのは困難である。

五の6について

 先の答弁書(平成二十一年二月六日内閣参質一七一第二二号)三の2及び3についてで述べたとおり、我が国は、かつて植民地支配と侵略によって、元捕虜を含め、旧連合国諸国を含む多くの国々の人々に対して多大の損害と苦痛を与えたとの歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを、これまで様々な機会に表明してきている。
 一方、我が国としては、先の大戦に係る賠償並びに財産及び請求権の問題については、サンフランシスコ平和条約及びその他関連する条約等に従って誠実に対応してきたところであり、これらの条約等の当事国との間では、個人の請求権の問題も含め、法的に解決済みである。
 我が国としては、関係諸国との信頼関係を一層強化するため、引き続き誠実に対応していく所存である。

六について

 お尋ねについては、その時々において、政府としての対応を検討してきており、米国の元捕虜等については、先の答弁書(平成二十一年二月十七日内閣参質一七一第三六号)九についてでお答えしたとおりである。