質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第五一号

内閣参質一七一第五一号
  平成二十一年二月二十七日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員近藤正道君提出外国人労働者の緊急総合支援(雇用、住宅、帰国、教育、情報提供)に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員近藤正道君提出外国人労働者の緊急総合支援(雇用、住宅、帰国、教育、情報提供)に関する質問に対する答弁書

一の1について

 お尋ねについては、これまでも、各府省において、必要に応じて所管分野に係る実態把握を実施してきたところであるが、今後、外国人労働者問題関係省庁連絡会議及び内閣府定住外国人施策推進室を中心に、各府省が連携しながら必要な施策を検討する中で、必要な実態把握の実施についても検討してまいりたい。

一の2について

 お尋ねの在留資格別の「外国人労働者」とは、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第二条の二第一項に規定する在留資格別の外国人登録者を指すものと考えるが、そうであるとすれば、平成十六年から平成十九年までにおける数については「平成二十年版在留外国人統計」において公表しているところであり、平成二十年における数については現在集計中である。
 お尋ねの在留資格別の「被雇用者」とは、雇用対策法(昭和四十一年法律第百三十二号)第八条に規定する外国人である労働者(事業主に雇用されている者に限る。)を指すものと考えるが、そうであるとすれば、平成十六年から平成十九年までにおける数については把握しておらず、それを推計できるような統計も承知していないが、平成二十年十月末日時点における数は、在留資格「教授」を有するものが七千二百九十九人、在留資格「芸術」を有するものが三十五人、在留資格「宗教」を有するものが二百六十人、在留資格「報道」を有するものが四十七人、在留資格「投資・経営」を有するものが八百九十四人、在留資格「法律・会計業務」を有するものが二十二人、在留資格「医療」を有するものが百二十七人、在留資格「研究」を有するものが千三百三十二人、在留資格「教育」を有するものが七千二百六十八人、在留資格「技術」を有するものが二万七千三百三人、在留資格「人文知識・国際業務」を有するものが三万二千四百二十二人、在留資格「企業内転勤」を有するものが五千六十五人、在留資格「興行」を有するものが百四十六人、在留資格「技能」を有するものが二千六百五十八人、在留資格「文化活動」を有するものが百七人、在留資格「短期滞在」を有するものが百二十三人、在留資格「留学」を有するものが五万六千九百二十四人、在留資格「就学」を有するものが一万三千九百九人、在留資格「研修」を有するものが二千六百八十七人、在留資格「家族滞在」を有するものが九千百八十一人、在留資格「特定活動」を有するものが九万四千七百六十九人、在留資格「永住者」を有するものが九万二千四百四十一人、在留資格「日本人の配偶者等」を有するものが五万七千四百三十九人、在留資格「永住者の配偶者等」を有するものが三千四十五人、在留資格「定住者」を有するものが七万八百九十五人である。
 お尋ねの在留資格別の「失業者」の数については把握しておらず、それを推計できるような統計も承知していない。

一の3及び4について

 お尋ねの数については把握しておらず、それを推計できるような統計も承知していない。

一の5について

 お尋ねの数については把握していないが、文部科学省が実施した「日本語指導が必要な外国人児童生徒の受入れ状況等に関する調査」によれば、公立学校における日本語指導が必要なポルトガル語を母語とする児童生徒の数は、平成十五年度が六千七百七十二人、平成十六年度が七千三十三人、平成十七年度が七千五百六十二人、平成十八年度が八千六百三十三人、平成十九年度が一万二百六人である。また、文部科学省が平成十七年度から実施している委託調査によれば、いわゆるブラジル人学校における外国人児童生徒の数は、平成十七年度が五千八百三十九人、平成十八年度が六千五百八人、平成十九年度が七千三百十二人であり、いわゆるペルー人学校における外国人児童生徒の数は、平成十八年度が百十三人、平成十九年度が百二十五人である。

二の1について

 太田、松本、大垣、美濃加茂、浜松、豊橋、豊田、刈谷及び四日市公共職業安定所(以下「拠点ハローワーク」という。)における平成二十一年一月二十三日現在の通訳の一週間当たりの総稼働時間は、八百十九時間である。
 また、過去五年間における拠点ハローワーク(平成十六年度から平成十九年度までについては美濃加茂公共職業安定所を除く。)に求職登録されている外国人からの延べ相談件数は平成十六年度が七千六百九十六件、平成十七年度が八千三百二十九件、平成十八年度が九千四百一件、平成十九年度が一万三千五百十一件、平成二十年度(平成二十一年一月までに限る。)が三万二千九十五件である。また、拠点ハローワークにおける過去六か月間及び前年同月の相談件数は、それぞれ平成二十年八月が千七百七十九件及び千百五十件、同年九月が二千三百七件及び千百五十二件、同年十月が二千八百八十一件及び千百五十一件、同年十一月が三千三百八十八件及び九百七十三件、同年十二月が五千二百十八件及び九百四件、平成二十一年一月が九千五百九十一件及び千八十件である。

二の2について

 太田、浜松、磐田、豊橋、四日市、津及び東近江労働基準監督署(以下「管轄監督署」という。)における外国語による相談に対応することができる外国人労働者労働条件相談員の人数は、平成二十一年二月二十三日現在で十一人である。
 また、管轄監督署における過去五年間の外国人労働者からの延べ相談件数は、平成十六年が三千六百六十二件、平成十七年が四千四百十三件、平成十八年が四千五百四十九件、平成十九年が四千七百五十一件、平成二十年が六千六十三件であり、過去六か月間及び前年同月の相談件数は、それぞれ平成二十年八月が三百九十九件及び三百六十九件、同年九月が五百四十一件及び四百四十三件、同年十月が五百七十九件及び五百件、同年十一月が六百二十九件及び四百二十四件、同年十二月が七百八十三件及び三百五十三件、平成二十一年一月が八百八十四件及び三百七十八件である。

三の1について

 お尋ねについては、地方公共団体等と連携して、地域の実情を踏まえて総合的な相談窓口の開設を進めているところであり、今後とも必要に応じてその増設を検討してまいりたい。

三の2及び3について

 外国人労働者に対する労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)等の労働法制及び雇用保険制度に係る情報提供については、拠点ハローワークを中心に、地元市町村と連携した相談窓口を立ち上げ、当該相談窓口において外国語で概説したリーフレットを配布するとともに、地方公共団体に対しその周知について協力を依頼しているところである。
 外国人労働者に対する生活保護制度等の生活困窮者の支援に関する制度に係る情報提供については、三の1についてで述べたような事例があるが、基本的には、当該制度を運営する各地方自治体において、地域の実情に応じて、適切に行われるべきものと考えている。

三の4について

 公共職業安定所及び労働基準監督署における通訳及び外国人労働者労働条件相談員の選考については、候補者の能力及び適性に基づき公正に行われるべきものであり、専ら解雇された外国人であることに基づいて選考することは考えていない。
 また、地方公共団体における通訳の選考については、各地方公共団体において判断されるべきものであると考える。

四の1について

 労働基準監督機関においては、国籍のいかんを問わず、労働者の労働災害を防止し労働条件を確保するため、事業場に対し監督指導を実施した際に、労働基準関係法令の遵守を指導しているところである。

四の2について

 お尋ねの数については把握していないが、全国の労働基準監督署が外国人労働者からの労働基準法等に規定する申告に基づき事業場に対し監督指導を行った件数は、平成十五年が千二百十一件、平成十六年が千二百八十四件、平成十七年が千三百八十七件、平成十八年が千五百五十八件、平成十九年が千七百八十件である。

五の1について

 解雇等に伴い社員寮等の住宅から退去を余儀なくされる者(以下「住居喪失離職者」という。)が急増していることについては、国籍のいかんを問わず、労働者の生活及び雇用の安定上、重大な問題であると認識している。

五の2について

 住居喪失離職者に対する住居の確保のための支援策としては、国籍のいかんを問わず、昨年十二月から全国の公共職業安定所において、雇用促進住宅への入居あっせん、住宅・生活支援の資金融資の相談等を行っているほか、事業主に対し、離職後における社員寮等への継続的な入居を実施した場合の助成措置を講じているところである。
 また、国籍のいかんを問わず、地方公共団体が公営住宅等を住居喪失離職者にも使用させることができるよう、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)第二十二条に規定する承認の手続を簡素化したところであり、独立行政法人都市再生機構(以下「都市再生機構」という。)においても、住宅・生活支援の資金融資を受けた住居喪失離職者に対し、入居時における収入要件の緩和措置等を講じているものと承知している。
 さらに、国籍のいかんを問わず、地方公共団体が緊急かつ臨時的に実施する住居喪失離職者等の居住確保対策に要する経費については、「生活防衛のための緊急対策」(平成二十年十二月十九日経済対策閣僚会議決定)に基づき、特別交付税措置を講じることとしている。

五の3について

 公営住宅については、国籍のいかんを問わず、入居者の収入が著しく低額である場合には、公営住宅法(昭和二十六年法律第百九十三号)第十六条第四項の規定により、地方公共団体が必要と認めた場合に家賃を減免することができるものと考えている。
 雇用促進住宅については、独立行政法人雇用・能力開発機構(以下「雇用・能力開発機構」という。)から聴取したところによれば、雇用・能力開発機構が行う住宅事業はその採算性の確保を図りつつ運営されていることから、国籍のいかんを問わず、居住者が解雇されたことを理由として家賃を減免することは困難であるとのことである。
 都市再生機構の賃貸住宅については、都市再生機構から聴取したところによれば、都市再生機構が行う賃貸住宅に関する業務はその採算性の確保を図りつつ運営されていることから、国籍のいかんを問わず、居住者が解雇されたことを理由として家賃を減免することは困難であるが、居住者から家賃の支払いが困難であるとの申出があった場合には、当該居住者が現在居住している住宅の家賃より低廉な家賃の住宅に関する情報の提供等に努めているとのことである。

五の4について

 適法に滞在する外国人の公営住宅への入居については、地方公共団体に対し、地域の実情を勘案の上、可能な限り地域住民と同様の入居申込資格を認めるよう、依頼しているところである。
 適法に滞在する外国人の雇用促進住宅及び都市再生機構の賃貸住宅への入居については、雇用・能力開発機構及び都市再生機構において、外国人に対する差別的取扱いをすることなく、適正に募集しているものと承知している。

六の1について

 雇用保険の被保険者であった者から被保険者資格があったことの確認の請求があった場合には、国籍のいかんを問わず、採用通知、雇用契約書、辞令、健康保険被保険者証その他被保険者資格の取得の事実判断の資料となるものを審査し、個別の事例に応じて、適切に判断しているところである。

六の2及び3について

 お尋ねの数については把握しておらず、それを推計できるような統計も承知していない。

六の4について

 雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第十条に規定する求職者給付については、御指摘のような場合には、御指摘のような措置を採るまでもなく、雇用保険の被保険者であった者に対して必要な給付が支給されているところである。

七の1について

 お尋ねについては、経済上の問題から外国人学校での就学が困難となった児童生徒に対する授業料軽減のための助成等を実施する地方公共団体に対し、特別交付税措置を講じることとしている。

七の2について

 公立学校における外国人児童生徒のいじめ防止策としては、一部の地方公共団体において母語を解する外国人児童生徒の支援員等によるカウンセリング等の取組が行われているものと承知している。
 また、母語を解する職員の配置については、一部の地方公共団体において実施されているものと承知しているが、その総数については把握していない。

七の3について

 御指摘のような財政支援は実施していない。

八について

 本年一月に、岐阜県から文部科学省大臣官房国際課の担当者に対し外国人学校に係る財政支援についての相談があったところ、当該担当者は、現行の私学助成制度を念頭において、私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第六十四条第四項に規定する法人が設置した外国人学校であって、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第百三十四条第一項に規定する各種学校として認可されたものに対する財政支援については憲法第八十九条に違反するものではないが、無認可の教育施設に対する財政支援は同条に違反する旨を担当者個人の暫定的な見解として示した。御指摘の報道は当該見解についてのものであると承知している。
 なお、これまでに岐阜県以外から同様の相談を受けたことはない。

九について

 「生活再建支援、職業訓練の一環」として、御指摘のような教室等を特に設置しているわけではないが、平成二十一年度予算においては、日本語能力向上も含めた就労準備のための研修を実施するための経費を計上しているところである。

十の1について

 本国への帰国を希望する定住外国人の円滑な帰国については、内閣府が本年一月三十日に取りまとめた「定住外国人支援に関する当面の対策について」に沿って、お尋ねの点も含め、本国政府等に対して要請を行うなど、環境整備に努めているところである。

十の2について

 本国への帰国を希望する定住外国人に対して国が帰国費用を給付する仕組みは、存在しない。

十の3について

 雇用保険制度は、被保険者であった者等に関し、失業した場合に必要な給付を行うとともに、雇用の安定を図ることを目的とするものであり、同制度において御指摘のような支援を実施することはできない。

十一の1について

 受入れ企業の都合による研修・技能実習の終了については、外国人研修・技能実習制度の趣旨に照らして、望ましくないものと考えている。

十一の2について

 お尋ねの数については把握していないが、昨年十月から十二月までの間に途中帰国した者について受入れ機関から報告があったものを集計したところ、受入れ企業の都合により途中帰国した研修生及び技能実習生は、それぞれ、昨年十月が二十名及び九十四名、同年十一月が十七名及び百三十七名、同年十二月が五十五名及び百九十五名である。

十一の3について

 御指摘のような場合には、法務省が公表している「研修生及び技能実習生の入国・在留に関する指針」にのっとり、受入れ企業に対して、研修・技能実習を継続するための新たな受入れ機関を探すよう行政指導を行っているところであるが、お尋ねの数については把握していない。