質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第三五号

内閣参質一七一第三五号
  平成二十一年二月十七日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員川上義博君提出かんぽの宿等の売却に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川上義博君提出かんぽの宿等の売却に関する再質問に対する答弁書

一について

 政府としては、総務大臣より日本郵政株式会社(以下「会社」という。)に対して、本年二月四日に、日本郵政株式会社法(平成十七年法律第九十八号)第十五条第一項の規定に基づく報告を求めたところであり、その内容を精査した上で、必要に応じ、同項の規定に基づく立入検査等の対応を検討することとしている。

二について

 会社が旧簡易生命保険法(昭和二十四年法律第六十八号)第百一条の加入者福祉施設(以下「かんぽの宿」という。)の一括売却の方針を決定したという事実については、平成二十年一月二十五日、総務省に来訪した会社の担当者から情報の提供があった。
 その後、会社からは、入札の開始、売却に関するスケジュールなど、売却手続の進捗状況に関する情報の提供はあったが、一括売却の対象施設の範囲、選考方法、審査の基準その他売却手法全般の妥当性を判断するに足る具体的な情報の提供はなかったため、一についてで述べた報告を会社から求めたところであり、その内容を精査する必要があると考えている。

三について

 会社によると、首都圏社宅九施設のうち、武蔵境住宅には、廃止された加入者福祉施設である東京総合健診センターに勤務していた者であって、その廃止後、東京逓信病院に勤務している者が一人居住しているが、同人は、同住宅が譲渡されるまでの間、暫定的に居住を認められているとのことである。
 各社宅に入居する会社の宿泊事業部門及び首都圏に所在するかんぽの宿の従業員数の内訳は、それぞれ、東村山住宅には五人と零人、小平住宅には六人と二人、町田住宅には四人と三人、府中住宅には三人と二人、所沢住宅には六人と零人、宮前平住宅には二人と三人、大倉山住宅には十二人と四人、武蔵境住宅には十三人と三人、五反田住宅には零人と三人である。
 これらのうち、ゆうぽうとの従業員は、三人である。
 会社の宿泊事業部門は、現在、メルパルク(旧郵便貯金法(昭和二十二年法律第百四十四号)第四条の施設)の譲渡又は廃止に関する業務を担当しているが、当該業務に従事する従業員は、今回売却の対象となっている首都圏社宅九施設には居住していない。

四について

 先の答弁書(平成二十一年二月六日内閣参質一七一第一七号)四についてでお答えしたとおり、公的宿泊施設等については、規制改革・民間開放推進会議において、「いまだに国、独立行政法人等が管理・運営する既存の公的宿泊施設等については、民間との競合や非効率性を一刻も早く解消すべく、廃止、売却等の民間委譲、又は包括的な民間委託を速やかに図るべきである」等の問題意識の下、森林管理局保養所ほか七施設が取り上げられているが、かんぽの宿が取り上げられたことはない。

五について

 先の答弁書(平成二十一年二月六日内閣参質一七一第一七号)五についてでお答えしたとおりである。

六について

 会社によると、入札において当初応募した二十七社のうち、実際に第一次入札に参加した企業は七社で、当該七社の入札額は、施設の買取りではなく宿泊事業の運営の受託を希望していたため、価格提示をしなかった一社を除くと、二十億円と提示した社が一社、八十億円と提示した社が一社、八十二億円と提示した社が二社、百七十五億円から二百二十億円までと提示した社が一社であり、オリックス不動産株式会社が提示した額は、百九十五億円から二百四十五億円までで、最も高い入札額であったとのことである。
 応募した二十七社については、書面による予備審査を経て、二十二社が第一次入札への参加を認められ、このうち、実際に第一次入札に参加した七社について選考が行われ、三社が最終入札への参加が認められたが、このうち一社が参加を辞退し、二社となったとのことである。
 選考に当たっては、従業員の雇用が十分に確保されること、取得目的が単なる投資ではなく、かんぽの宿の事業の発展的かつ継続的な経営にあること、相応の譲渡対価が得られること等の観点から、入札額以外に、当該企業の財務状況、従業員の取扱い、施設取得後の事業戦略、宿泊事業の運営実績等を審査基準としたとのことである。

七について

 かんぽの宿の赤字の原因については、一についてで述べた報告を会社から求めたところであり、経営の改善の可能性を含め、その内容を精査する必要があると考えている。

八について

 お尋ねについては、当時の竹中郵政民営化担当大臣の指示により、当時の内閣官房郵政民営化準備室において、かんぽの宿等を譲渡又は廃止することとするとともに、雇用に配慮する等の観点から、かんぽの宿の日本郵政公社からの承継先としてどこが適当か、譲渡又は廃止のための猶予期間としてどの程度が必要か等について検討を行ったところである。

九について

 沖縄県那覇市おもろまち二丁目に所在する土地は、沖縄郵便貯金会館の移転用地として、平成十一年に当時の郵政省が取得し、平成十五年に日本郵政公社が承継した。
 会社によると、平成十七年に沖縄郵便貯金会館の移転が中止となったため、当該土地については、郵便局の設置、分譲マンションの建設等郵便局株式会社による活用を目的として、平成十九年に同社が承継したが、収益性等の検討の結果、同社による活用が困難との判断に至り、平成二十年に売却したとのことである。また、同社が当該土地を承継した際の路線価は、十七億七千四百八万七千二百円であるが、鑑定評価は行われていないとのことである。当該土地の売却に当たっては、応募した十社のうち、オリックス・アルファ株式会社を除く九社は、入札額の提示に至らなかったとのことである。
 オリックス・アルファ株式会社とオリックス不動産株式会社の関係については、政府として承知していない。