質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第一九号

内閣参質一七一第一九号
  平成二十一年二月六日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員大河原雅子君提出利根川水系河川整備計画と八ッ場ダム建設事業に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員大河原雅子君提出利根川水系河川整備計画と八ッ場ダム建設事業に関する質問に対する答弁書

一の1について

 利根川水系に係る河川整備計画の策定に関しては、国土交通省関東地方整備局(以下「関東地方整備局」という。)において、学識経験者及び関係住民等からこれまでに聴取した意見も踏まえ、同計画を策定するためのたたき台の作成に向けて作業を行っているところである。

一の2及び3について

 利根川水系については、流域面積が大きく、また、支川の数が多い等の特性を有していること等から、利根川水系に係る河川整備計画の検討には相当の時間を要しているが、できるだけ速やかに同計画を策定してまいりたい。

一の4について

 利根川水系に係る河川整備計画の策定に当たっては、河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第十六条の二の規定に基づく学識経験者、関係住民及び関係都県知事の意見聴取等を行ってまいりたい。

一の5について

 お尋ねの「回答」については、平成二十年五月二十三日に関東地方整備局のホームページに掲載する等により示している。

一の6について

 第一回利根川・江戸川有識者会議等においては、利根川水系に係る河川整備計画の目標に関して、利根川水系の本川については現在の治水安全度等を考慮し、支川については本川と支川とのバランス等を考慮した上で、それぞれの治水安全度の考え方を提示したものである。なお、同計画の目標については、現在、引き続き検討中である。

一の7について

 お尋ねの治水安全度について、現在の整備水準で対応できるものと認識している流量規模を年超過確率を用いてお示しすると、一級河川利根川水系利根川(以下「利根川」という。)上流部についてはおおむね三十分の一から四十分の一、利根川下流部についてはおおむね十分の一から二十分の一であり、利根川の支川及び一級河川利根川水系江戸川についてはおおむね三十分の一から四十分の一又はそれ以下の治水安全度である。

一の8について

 お尋ねの事業等に係る現在の状況、平成二十年度までに支出する予定の事業費及び完成予定年度は、それぞれ次のとおりである。
 八ッ場ダム建設事業 工事中 約三千二百十七億円 平成二十七年度
 湯西川ダム建設事業 工事中 約千六十億円 平成二十三年度
 思川開発事業 工事中 約七百三十七億円 平成二十七年度
 霞ヶ浦導水事業 工事中 約千四百五十五億円 平成二十七年度
 渡良瀬遊水地の調節池の整備に係る事業 工事中 約四百二十五億円 未定
 稲戸井調節池の整備に係る事業 工事中 約三百三十七億円 未定
 首都圏氾濫区域堤防強化対策事業 工事中 約四百七十五億円 未定
 また、お尋ねの「印旛沼経由の利根川放水路計画」、「烏川河道内調節池計画」及び「下久保ダムの治水容量増強計画」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、平成十八年二月十四日に策定した利根川水系河川整備基本方針に記載している「印旛沼を調節池として活用した放水路を整備」、「烏川においては、広い高水敷等を活用して河道の有する遊水機能を増強」及び「利水容量と治水容量の振り替えを含むダム群の再編と嵩上げ」については、現在、調査検討中である。

一の9について

 利根川水系河川整備基本方針に沿って計画的に実施すべき具体的な河川工事等については、利根川水系に係る河川整備計画(同計画が定められるまでの間においては、河川法の一部を改正する法律(平成九年法律第六十九号。以下「河川法改正法」という。)附則第二条第二項の規定により同計画とみなされる利根川水系工事実施基本計画の一部)に基づき実施されるものである。

一の10について

 利根川水系に係る河川整備計画の策定に関しては、御指摘のような「ルール」は存在しない。

一の11について

 御指摘の「経過措置」は期限を設けて講じられたものではないが、河川整備計画については、河川法改正法の制定当時から、できるだけ速やかに策定するよう努めるものとしている。

一の12について

 一の9についてで述べたとおり、河川法改正法附則第二条第二項の規定により、利根川水系工事実施基本計画の一部は、利根川水系に係る河川整備計画とみなされているものであり、「矛盾」との御指摘は当たらないものと考えているが、同計画については、できるだけ速やかに策定してまいりたい。

一の13について

 河川法改正法においては、環境に配慮し、地域の実情に応じた河川の整備を推進するため、河川の総合的管理の内容の一つとして「河川環境の整備と保全」を位置付ける等の措置を講じたものである。

二の1の(一)について

 御指摘の「入札公告」については、今後の工事工程等を考慮して、平成二十一年一月九日に行ったものである。

二の1の(二)について

 お尋ねの「ダム本体工事」及び「本体工事開始」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、例えば、平成二十年度予算にダム本体建設工事(ダム堤体の工事を含む工事をいう。以下同じ。)の事業費が初めて計上された湯西川ダムのダム本体建設工事にあっては、入札公告日が平成十九年十二月二十五日、入札日が平成二十年七月十八日、契約締結日が同月二十八日である。

二の1の(三)について

 お尋ねの「ダム本体工事に着手した」及び「本体工事開始」の意味するところが必ずしも明らかではなく、また、国土交通省が施工したダム及び施工しているダム(昭和六十三年度以降にダム本体建設工事の契約を初めて締結したものに限る。)のダム本体建設工事の契約等については、関係する資料の保存期間が経過しているものもあることから、網羅的にお答えすることは困難であるが、これらのダム本体建設工事の入札公告日、入札日及び契約締結日について、現時点において把握している限りでお示しすると、それぞれ次のとおりである。
 忠別ダム 平成五年十二月十六日 平成六年三月一日 平成六年三月十五日
 摺上川ダム 平成六年九月八日 平成六年十二月十二日 平成六年十二月十三日
 苫田ダム 平成十年十二月三日 平成十一年二月二十五日 平成十一年三月二日
 長井ダム 平成十一年十二月三日 平成十二年三月二十一日 平成十二年三月二十四日
 灰塚ダム 平成十二年十二月十一日 平成十三年三月二日 平成十三年三月五日
 森吉山ダム 平成十三年十二月五日 平成十四年三月二十二日 平成十四年三月二十七日
 留萌ダム 平成十三年十二月十二日 平成十四年二月二十一日 平成十四年二月二十一日
 横川ダム 平成十四年十一月二十二日 平成十五年二月二十八日 平成十五年三月十日
 志津見ダム 平成十五年十一月二十一日 平成十六年三月十二日 平成十六年三月二十二日
 胆沢ダム 平成十六年七月二日 平成十六年九月二十八日 平成十六年十月十二日
 嘉瀬川ダム 平成十六年七月十四日 平成十七年一月二十七日 平成十七年二月三日
 尾原ダム 平成十七年六月二十八日 平成十八年二月二十七日 平成十八年三月二十三日
 夕張シューパロダム 平成十七年十月二十五日 平成十八年三月六日 平成十八年三月三十日
 殿ダム 平成十八年七月十一日 平成十九年一月二十二日 平成十九年二月二十一日
 湯西川ダム 平成十九年十二月二十五日 平成二十年七月十八日 平成二十年七月二十八日
 津軽ダム 平成十九年十二月二十五日 平成二十年八月二十六日 平成二十年十月六日

二の1の(四)について

 御指摘の「入札公告」に当たってダムの詳細な設計を行ったこと及び御指摘の「入札公告」の工事内容は八ッ場ダムの完成に必要なすべての工事を含むものではないことから、御指摘の「数字」が異なっているものである。
 なお、平成十九年十二月に開催された関東地方整備局事業評価監視委員会の資料には、「基礎掘削量六八万立方メートル」との記載はない。

二の1の(五)について

 一級河川利根川水系吾妻川の仮締切の工事を平成二十一年度に開始する予定であり、当該工事の完了後、平成二十四年度に八ッ場ダムの本体となるコンクリートの打設(以下「本体打設」という。)を開始し、平成二十七年度に本体打設を完了する予定である。

二の1の(六)及び(七)について

 一般国道百四十五号の付替道路のうち先行して二車線で完成予定のもの(以下「二車線の付替国道」という。)及び東日本旅客鉄道株式会社吾妻線の付替鉄道については、平成二十二年度末までに付替工事が完了する予定であり、工事完了後は、お尋ねの「現国道」及び「現鉄道」は一般の用に供されなくなるものと考えている。

二の1の(八)について

 八ッ場ダム建設事業に係る代替地については、平成二十一年度末までにおおむね造成が完了する予定であること及び造成が完了したものから順次分譲を開始していることから、「ダム水没予定地の住民」の移転は、本体打設を開始するまでにおおむね完了していることを予定している。

二の2の(一)について

 お尋ねの「既に完成した区間」の延長は、平成十九年度末現在、約六百メートルである。

二の2の(二)について

 お尋ねの「未買収の距離数」については、多数の未買収の土地と買収した土地が混在しており、未買収の距離を正確に算定するためには膨大な作業が必要となることから、お答えすることは困難である。また、二車線の付替国道については、平成二十二年度末までに工事を完了し、平成二十三年度当初の供用開始を予定しており、この供用に向けて必要となる用地の買収を進めていくこととしている。

二の2の(三)について

 御指摘のように「工期を大幅に延長せざるを得ない」とは、現時点では考えていない。

二の2の(四)について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、一般国道百四十五号の付替道路の四車線化については、前回答弁書(平成二十年六月三日内閣参質一六九第一三一号)五の5及び6についてで述べたとおりである。

二の2の(五)について

 お尋ねの「契約違反」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、一般国道百四十五号の付替道路については、地域高規格道路の整備区間として四車線で整備することを計画しているものである。

二の2の(六)について

 水源地域対策特別措置法(昭和四十八年法律第百十八号)第四条の規定に基づく「利根川水系吾妻川八ッ場ダムに係る水源地域整備計画」に定められた整備事業の具体的な工期や進捗状況については、事業ごとに様々であるが、事業主体においては、八ッ場ダム建設事業の完成予定年度である平成二十七年度を目途に、おおむねすべての事業が完了するよう事業を進めているものと承知している。

二の2の(七)について

 お尋ねの「ダム完成時期」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、現在国土交通省が管理する水源地域対策特別措置法第二条第一項の指定ダム(直轄堰堤維持費又は堰堤維持費(以下「堰堤維持費等」という。)が、昭和五十三年度以降に初めて計上されたものに限る。)における、堰堤維持費等が初めて計上された年度及び同法第四条の規定に基づく水源地域整備計画に定められた整備事業がすべて完了した年度として把握しているものは、それぞれ次のとおりである。
 手取川ダム 昭和五十五年度 平成二年度
 御所ダム 昭和五十七年度 平成七年度
 野村ダム 昭和五十七年度 昭和五十七年度
 川治ダム 昭和五十九年度 昭和五十九年度
 耶馬渓ダム 昭和六十年度 昭和六十年度
 大川ダム 昭和六十三年度 昭和六十年度
 浅瀬石川ダム 平成元年度 昭和六十三年度
 玉川ダム 平成三年度 平成六年度
 寒河江ダム 平成三年度 平成四年度
 蓮ダム 平成三年度 平成三年度
 弥栄ダム 平成三年度 昭和六十二年度
 美利河ダム 平成四年度 平成三年度
 七ヶ宿ダム 平成四年度 平成九年度
 二風谷ダム 平成十年度 平成八年度
 三春ダム 平成十年度 平成十三年度
 八田原ダム 平成十年度 平成九年度
 滝里ダム 平成十二年度 平成十三年度
 宮ヶ瀬ダム 平成十三年度 平成十五年度
 長島ダム 平成十四年度 平成十三年度
 竜門ダム 平成十四年度 平成十二年度
 苫田ダム 平成十七年度 平成二十三年度予定
 摺上川ダム 平成十八年度 平成十九年度
 忠別ダム 平成十九年度 平成十六年度
 灰塚ダム 平成十九年度 平成十八年度
 横川ダム 平成二十年度 平成十九年度