質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第一七号

内閣参質一七一第一七号
  平成二十一年二月六日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員川上義博君提出かんぽの宿等の売却に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川上義博君提出かんぽの宿等の売却に関する質問に対する答弁書

一について

 日本郵政株式会社(以下「会社」という。)からは、旧簡易生命保険法(昭和二十四年法律第六十八号)第百一条の加入者福祉施設(以下「かんぽの宿」という。)を、その従業員を含めた事業体として一括譲渡することにより、売れ残る施設が発生することなく、十分な雇用の確保が図られるとともに、全施設のネットワーク性が維持されることにより、事業価値の最大化が図られると考えたと聞いている。
 全国の七十施設を一括で売却することについて、総務省が相談を受けたことはない。
 個々の施設ごとに地域の資本に売却することについて、会社が検討したか否かについては、総務省としては承知していない。

二について

 東村山住宅、小平住宅、町田住宅、府中住宅、所沢住宅、宮前平住宅、大倉山住宅、武蔵境住宅及び五反田住宅である。
 会社からは、会社の宿泊事業部門及び首都圏に所在するかんぽの宿の従業員の住居確保の観点から、かんぽの宿と一括で売却することとしたと聞いている。

三について

 会社による平成二十年八月末の鑑定評価額によると、かんぽの宿小樽は約千六百万円、かんぽの宿十勝川は約千百万円、かんぽの宿一関は約五千八百万円、かんぽの宿横手は約二千六百万円、かんぽの宿松島は約五千百万円、かんぽの宿郡山は約六千七百万円、かんぽの宿いわきは約二億六千九百万円、かんぽの宿大洗は約一億二千九百万円、かんぽの宿潮来は約千二百万円、かんぽの宿塩原は約六千百万円、かんぽの宿栃木喜連川温泉は約一億九千二百万円、かんぽの宿草津は約八千万円、かんぽの宿磯部は約二千六百万円、かんぽの宿寄居は約三億四百万円、かんぽの宿鴨川は約九千二百万円、かんぽの宿旭は約五億六千二百万円、かんぽの宿勝浦は約一億四千二百万円、かんぽの宿青梅は約七億三千万円、かんぽの宿箱根は約三千二百万円、かんぽの宿石和は約八千八百万円、かんぽの宿柏崎は約五千八百万円、かんぽの宿諏訪は約三千三百万円、かんぽの宿熱海は約二億六千三百万円、かんぽの宿修善寺は約三千万円、かんぽの宿伊豆高原は約七千四百万円、かんぽの宿富山は約千九百万円、かんぽの宿山代は約七千八百万円、かんぽの宿福井は約二千百万円、かんぽの宿焼津は約九千六百万円、かんぽの宿浜名湖三ヶ日は約五千三百万円、かんぽの宿三ヶ根は約六百万円、かんぽの宿知多美浜は約一億二千三百万円、かんぽの宿恵那は約五千九百万円、かんぽの宿岐阜羽島は約三千万円、かんぽの宿鳥羽は約千五百万円、かんぽの宿熊野は約千七百万円、かんぽの宿彦根は約一億三千四百万円、かんぽの宿舞鶴は約二千百万円、かんぽの宿富田林は約一億五千九百万円、かんぽの宿大和平群は約一億二百万円、かんぽの宿奈良は約三億五千六百万円、かんぽの宿白浜は約三千三百万円、かんぽの宿紀伊田辺は約一億二百万円、かんぽの宿有馬は約四億三千八百万円、かんぽの宿赤穂は約三億八千九百万円、かんぽの宿淡路島は約六千六百万円、かんぽの宿皆生は約六千七百万円、かんぽの宿美作湯郷は約千百万円、かんぽの宿竹原は約三千百万円、かんぽの宿光は約一億五百万円、かんぽの宿湯田は約八千八百万円、かんぽの宿観音寺は約六千六百万円、かんぽの宿坂出は約四千六百万円、かんぽの宿徳島は約八千八百万円、かんぽの宿道後は約三千七百万円、かんぽの宿伊野は約三千万円、かんぽの宿北九州は約一億七千五百万円、かんぽの宿柳川は約一億六千万円、かんぽの宿島原は約一億七千四百万円、かんぽの宿別府は約一億円、かんぽの宿日田は約一億千七百万円、かんぽの宿山鹿は約二千八百万円、かんぽの宿阿蘇は約一億千七百万円、かんぽの宿日南は約九千万円、那覇レクセンターは約一億六千四百万円、かんぽの郷酒田は約四千百万円、かんぽの郷白山尾口は約五千八百万円、かんぽの郷庄原は約二億九千九百万円、かんぽの郷宇佐は約七千万円、ラフレさいたまは約十五億六千七百万円、東村山住宅は約一億二千二百万円、小平住宅は約一億四千九百万円、町田住宅は約一億七千三百万円、府中住宅は約一億九千六百万円、所沢住宅は約一億五千八百万円、宮前平住宅は約三億七千三百万円、大倉山住宅は約十億二千五百万円、武蔵境住宅は約十億七千六百万円、五反田住宅は約六億四百万円である。

四について

 郵政民営化については、平成十五年七月二十八日に開催された平成十五年度第三回総合規制改革会議において取り上げられ、その議事概要は、内閣府のホームページに掲載されている。その後、同年九月二十六日に開催された平成十五年第二十回経済財政諮問会議において、郵政民営化に関する議論は経済財政諮問会議で一元的に行うこととされ、その旨が同年十月七日に開催された平成十五年度第五回総合規制改革会議で当時の金子一義内閣府特命担当大臣(規制改革)より報告された。それ以降、総合規制改革会議及び規制改革・民間開放推進会議において郵政民営化は取り上げられていない。
 また、公的宿泊施設については、規制改革・民間開放推進会議において、「いまだに国、独立行政法人等が管理・運営する既存の公的宿泊施設等については、民間との競合や非効率性を一刻も早く解消すべく、廃止、売却等の民間委譲、又は包括的な民間委託を速やかに図るべきである」等の問題意識の下、森林管理局保養所、船員保険保養所、政府管掌健康保険保養所、厚生年金基金センター、国立少年自然の家、国立青年の家、国立オリンピック記念青少年総合センター及び国立女性教育会館が取り上げられている。なお、かんぽの宿が総合規制改革会議及び規制改革・民間開放推進会議において取り上げられたことはない。
 総合規制改革会議、規制改革・民間開放推進会議等の構成員については、いずれも規制改革等について優れた識見を有する者として、それぞれの所属する組織の立場を離れ、公共の利益のためにこれらの会議に参画しており、さらに、最終的な政策決定は、内閣の責任で行うものである。したがって、これらの会議の活動が特定の企業の利益につながるものとして行われたことはないと考えている。

五について

 会社からは、日本郵政株式会社法(平成十七年法律第九十八号)附則第二条第一項の規定により、平成二十四年九月三十日までの間に、かんぽの宿を譲渡又は廃止することとされており、これを確実に履行する必要があることに加え、譲渡又は廃止に関する従業員の不安を解消し、勤労意欲を維持するためにも、早期に雇用の継続を確定させる必要があると考えたこと等から、今回、売却することとしたと聞いている。

六について

 会社からは、会社のホームページに、かんぽの宿、首都圏に所在する社宅及びかんぽの宿を運営する会社の宿泊事業部門を一括で譲渡するための競争入札を実施する旨を、平成二十年四月一日に掲載したところ、二十七社が応募し、オリックス不動産株式会社が百八億八千六百万円で落札したと聞いている。
 その他の応募企業名及びその入札額は、当該企業の評価等に影響を与える可能性があることから控えさせていただきたいとの会社からの申出により、明らかにできない。ただし、最終入札に参加した二企業のうち、オリックス不動産株式会社以外の社の入札額は、六十一億四千六百万円とのことである。また、入札をやり直すかどうかについては、会社の判断によるものと考える。

七について

 会社からは、平成十九年度決算において、約三十九億九千四百万円と聞いている。

八について

 郵政民営化により新たに設立される、会社をはじめとする郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)第六条第三項に規定する承継会社等は、健全な経営を確保するため、それぞれの中核的業務に特化することとし、かんぽの宿については譲渡又は廃止をすることとしたものである。当該譲渡又は廃止には一定の猶予期間を設けることが合理的であることから、類似の他の施設の譲渡又は廃止のための猶予期間等を参考にして、平成二十四年九月三十日までに譲渡又は廃止をすることとしたものである。

九について

 会社からは、郵便局株式会社が所有していた沖縄県那覇市おもろまち二丁目に所在する土地について、オリックス株式会社の子会社であるオリックス・アルファ株式会社に売却した事実があると聞いている。
 当該土地の売却については、会社のホームページに、当該土地を譲渡するための競争入札を実施する旨を、平成二十年五月十四日に掲載したところ、十社が応募し、オリックス・アルファ株式会社が二十八億六千七百七十万円で落札したと聞いている。