質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第一号

内閣参質一七一第一号
  平成二十一年一月十三日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員谷岡郁子君提出歴史教科書と国連人権委員会による従軍慰安婦についての勧告に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員谷岡郁子君提出歴史教科書と国連人権委員会による従軍慰安婦についての勧告に関する質問に対する答弁書

一及び三について

 御指摘の勧告は、法的拘束力を持つものではなく、市民的及び政治的権利に関する国際規約(昭和五十四年条約第七号)の締約国に対し、当該勧告に従うことを義務付けているものではないと理解している。
 また、御指摘の内閣官房長官談話の趣旨は、慰安婦の問題を長く記憶にとどめ繰り返さないという決意を表明したものであるが、特に具体的な研究や教育を念頭に置いたものではない。
 我が国の教科用図書検定制度は、申請された図書の具体的な記述について、義務教育諸学校教科用図書検定基準(平成十一年文部省告示第十五号)又は高等学校教科用図書検定基準(平成十一年文部省告示第九十六号)に従い、教科用図書検定調査審議会の調査審議に基づいて、検定の時点における客観的な学問的成果や適切な資料等に照らして記述の欠陥を指摘することを基本として実施しているものであり、文部科学省としては、このような考え方に基づいて、適切に対応してまいりたいと考えている。

二について

 御指摘の検定意見は、沖縄における集団自決について、最近の著書等で軍の命令の有無が明確ではないという内容の記述があること等を総合的に勘案して、教科用図書検定基準等に照らし、すべての集団自決が軍の命令で行われたと誤解されるおそれがあるとの趣旨で、教科用図書検定調査審議会の調査審議に基づき付されたものである。
 他方、慰安婦の問題を含め、教科用図書で具体的にどのような事象を取り上げ、それをどのように記述するかは、教科用図書検定基準等に沿ったものとなっている限り、当該図書の著作者等の判断にゆだねられている。