質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第二三九号

汚染者負担原則に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年七月十四日

松野 信夫   


       参議院議長 江田 五月 殿



   汚染者負担原則に関する再質問主意書

 公害問題における汚染者負担の原則について質問主意書(第一七一回国会質問第一三七号)を提出したところ、本年四月二十四日に質問主意書に対する答弁書(内閣参質一七一第一三七号)を受領した。しかし、必ずしも答弁がなされていないので、再度、質問する。

一 質問主意書第四項で、「水俣湾公害防止事業では、(中略)実際には、事業費約四百八十億円のうちチッソ負担分は約三百億円で、残りを国と熊本県でそれぞれ二分の一ずつ負担した。この点は汚染者負担原則を完全には適用していないのではないかと思われるがそのとおりか。また、完全には適用しなかった理由は何か。」と質問したところ、それに対する答弁は「汚染者負担の原則を踏まえつつ、港湾機能の増加分、現存港湾施設の価格減耗分等も考慮し算定されたと承知している。」であった。しかし、これでは正面から答えるものとなっていない。
 そもそもチッソが排出した高濃度なメチル水銀を含有する水俣湾の汚泥、ヘドロの浚渫・埋立処理にかかった費用は、汚染者負担原則からすれば公害防止事業負担金としてチッソが全額負担すべきではないか。答弁にある「汚染者負担の原則を踏まえつつ」という文言の意味は同原則の適用を行ったという趣旨か。どのような理由と基準によってチッソだけではなく国と熊本県で負担したか、端的に答弁されたい。

二 質問主意書第六項で、「政府はその中で、前記政治解決における一時金総額約三百十七億円のうち、国が出資した八十五%に当たる約二百七十億円について返済を免除することにした。これは汚染者負担原則を逸脱するものではないか。逸脱しないというのであれば、その理由は何か。汚染者負担原則も、当該原因企業が経営悪化の場合、その他何らかの理由があれば貫徹しないで良いという理解であるか。」と質問したところ、それに対する答弁は「一時金の支払後にチッソ株式会社の財務状況が悪化したことから、同社が補償金を支払うために必要な措置として、民間金融機関の債権放棄等を前提に、一時金に係る国庫補助金の返還を不要としたものである。」であった。
 この答弁は、要するに国が行った措置を単に記載したに過ぎず、肝心の質問に答えていない。質問は、国の措置内容を尋ねているのではなく、前記措置が汚染者負担原則を逸脱するものではないか、逸脱しないというのであればその理由は何か、というものである。また汚染者負担原則も、「チッソ株式会社の財務状況が悪化した」場合には貫徹しないで良いという理解であるか、あるいは汚染者負担原則も変更されるか、というものである。端的に答弁されたい。

  右質問する。