質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第二二七号

裁判員制度下の性犯罪被害者の保護に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年七月六日

姫井 由美子   


       参議院議長 江田 五月 殿



   裁判員制度下の性犯罪被害者の保護に関する質問主意書

 平成二〇年中の裁判員裁判対象事件の起訴件数は二三二四件であるが、そのうちの約二割に当たる四六八件が、強姦致死傷や強制わいせつ致死傷などのいわゆる性犯罪事件である。性犯罪事件の刑事手続では、被害者の名誉、プライバシーなどの保護や精神面に対する配慮がとりわけ重要である。しかし本年五月二一日から始まった裁判員制度の下では、裁判員選定手続において、性犯罪被害者の個人情報が裁判員候補者に公開されることへの懸念が、関係者の間で広まっている。
 そこで、最高裁判所との協議を行うなど、政府としても何らかの対応が必要との観点から、以下質問する。

一 これまで、性犯罪事件の被害者に関する情報の保護のために講じてきた立法措置にはどのようなものがあるか。また、政府としては、現行の法律のままで、名誉、プライバシーの侵害から性犯罪被害者を十分保護することができると認識しているのか。

二 裁判員制度開始から本年六月三〇日までの一か月余りで、裁判員裁判の対象となる性犯罪事件は何件起訴されているか示されたい。

三 裁判員選定手続において、性犯罪被害者の氏名、住所等の個人情報が公開されることによる名誉、プライバシーの侵害から、政府としては、性犯罪被害者をどのように保護していくべきと考えるか、見解を示されたい。

四 守秘義務のない裁判員候補者が、性犯罪被害者の氏名、住所等の個人情報を公開した場合、当該情報がインターネット等を通じて流される危険があると考える。このような危険に対して政府としては、どのように対処すべきと考えるか、見解を示されたい。

五 性犯罪被害者の受けている精神的打撃を考えると、裁判員として選任され守秘義務が課されてから被害者の氏名、住所等の個人情報を公開すべきだと考える。政府としては、この点をどのように考えるか、見解を示されたい。

  右質問する。