質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第二二四号

特別職公務員の守秘義務に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年七月二日

藤末 健三   


       参議院議長 江田 五月 殿



   特別職公務員の守秘義務に関する質問主意書

 国家公務員、地方公務員ら一般職の公務員では、職務の特性上、秘密の保持が必要なため、守秘義務が定められている。守秘義務が定められた者は正当な理由なく職務上の秘密を漏らした場合、処罰の対象となる。
 一般職の公務員の場合、国家公務員法では百条一項、地方公務員法では三十四条一項で守秘義務が課されており、違反者は、国家公務員の場合は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処せられ、地方公務員の場合は、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処せられる。ところが特別職の公務員の場合、守秘義務と違反時の罰則については法的な規定が定められていない特別職が存在する。
 これを踏まえて以下質問する。

一 特別職公務員の守秘義務に関する法的根拠について

 例えば、国務大臣、副大臣、大臣政務官に関しては「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」(平成十三年一月六日閣議決定)があることは承知している。しかし、同規範には、守秘義務違反に関する規定はあるものの、罰則はなく、かつ法的裏付け、法的拘束力はないと思われる。そこで、特別職、具体的には、内閣総理大臣、国務大臣、副大臣、大臣政務官、内閣法制局長官、内閣官房副長官、内閣危機管理監、内閣官房副長官補、内閣広報官、内閣情報官、内閣総理大臣補佐官、宮内庁幹部職員、特命全権大使、特命全権公使及び特定独立行政法人の役員について、それぞれ、(一)守秘義務がどのように規定されているか、(二)守秘義務違反時の罰則はどう定められているか、(三)守秘義務と違反時の罰則に関する法的規定、法的拘束力があるか、(四)欧米各国の同等の身分では法的規定、法的拘束力があるかを明らかにされたい。

二 守秘義務に関する法的根拠の有無の理由について

 公務員のうち、一般職と特別職で守秘義務に関する規定の軽重が存在するのはなぜか。つまり、一般職では守秘義務は法的義務であり、違反時には罰則が科せられるにもかかわらず、特別職では法的義務ではなく大臣規範などで定められ、かつ罰則がないのはなぜか。職務上の必要性など軽重の差を設けている合理的な理由を説明されたい。また、欧米各国制度と法的根拠に違いがある場合はその理由、歴史的背景についても政府の見解を示されたい。

三 守秘義務に関する法的根拠の設定について

 外交政策、経済政策上、秘密保持が必要な場面は多々あると思われる。一般職の公務員に守秘義務が法的に課されているのに対し、情報や権限が集中する特別職の公務員に法的な守秘義務が課されていないため、情報が漏洩するケースも考え得る。外交政策など情報漏洩が国益に反することが明らかな場合には、大臣や副大臣ら特別職の公務員にも法的な守秘義務を課すべきではないか。守秘義務とその違反に対する罰則に関する法的根拠を設けることの長所、短所についてそれぞれ言及した上で、政府として「法的根拠を設定すべき」との意見に対する見解を示されたい。

  右質問する。