質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第二一七号

一時凍結していた直轄国道十八事業の事業再開に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年六月二十五日

長浜 博行   


       参議院議長 江田 五月 殿



   一時凍結していた直轄国道十八事業の事業再開に関する質問主意書

 建設効果が費用に見合わないとして、すなわちBバイCが一以下となるため、国土交通省が本年三月末に建設をいったん凍結した十八の直轄国道事業(以下「直轄国道十八事業」という。)について、各地方整備局等に設置されている「事業評価監視委員会」での審議を踏まえて、大半の事業を再開させる動きが見られる。冬柴鐵三元国土交通大臣は、BバイCが一を切ればいかなる場合でも事業を取りやめなければならない旨を国会において繰り返し答弁していた。今回の事業再開に関して、以下質問する。

一 国土交通省は費用対効果が小さいとして一時凍結していた直轄国道十八事業について、事業評価監視委員会において再開を求め、これを受けて当該国道の建設再開に向けた手続が矢継ぎ早に進んでいる。これは突然の政策変更と言わざるを得ず、国民に十分な説明が行われているとは認識できない。かかる政策変更について、内閣全体及び国土交通省等において、いかなる法的根拠、手続に基づいて、誰がいつ決断したことによって実施されることとなったのか、政府の見解を示されたい。

二 国土交通省が本年三月末に、BバイCが一以下となったため、建設をいったん凍結した直轄国道十八事業について、凍結を解除する方向のようであるが、BバイCが一を切ればいかなる場合でも事業を取りやめなければならないなどとした冬柴鐵三元国土交通大臣の答弁との整合性はとれていると言えるのか見解を示されたい。

三 国土交通省は、直轄国道十八事業について、道路構造の見直し等によるコストの縮減を行うとともに、地域にもたらされる様々な効果について総合的に評価し、建設再開の可否を判断するとしているが、その際のBバイCと総合的評価との関係はどのようになっているのか。また、総合的評価の客観性はどのように担保されるのか。BバイCを再計算するに当たり、総合的評価の結果を数値化して便益の中に含めて計算されると理解してよいのか。それぞれ答弁されたい。

四 直轄国道十八事業について、以下の点を明らかにされたい。

1 コスト縮減等の見直しを踏まえて再計算された各事業別のBバイCの値
2 十八事業の全体事業費約五千八百億円のうち、残事業費は約三千億円とされているが、十八事業全体及び各事業別のコスト縮減額
3 各事業別の具体的なコスト縮減方法
4 地域の実情等の総合的評価の方法及び各事業別の具体的な評価内容
5 十八事業のうち、建設再開が見送られた事業があれば、その事業名とその理由

五 直轄国道十八事業について、第三者の学識経験者等から構成される事業評価監視委員会で、ほとんどが再開を求める結論を出す方向で議論されていると見受けられるが、そもそも同委員会の人選は中立・公正に行われているのか、当該事案に関する審議は十分に時間をとって公平に行われているのか、国土交通省が特定の結論を誘導するような関与をしていないのか、すべての議事録は公開される予定なのか。以上の点を明らかにされたい。

六 第百七十一回国会において成立した政府提出の「道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律等の一部を改正する法律」は、修正により附則に、「政府は、真に必要な道路の整備の推進を図る観点から、費用効果分析の結果の適切な活用等により、地域の実情をより反映した効率的かつ効果的で透明性が確保された道路整備事業の実施の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」との条文が追加された。かかる修正によって、政府はより透明性、効率性などを斟酌して道路整備事業に取り組むべき責務を負ったと受け止めているが、一連の動きは修正の趣旨に反するとともに、立法府の意思をないがしろにするものではないのか。政府の見解を示されたい。

  右質問する。