質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第二一六号

水俣病研究に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年六月二十二日

松野 信夫   


       参議院議長 江田 五月 殿



   水俣病研究に関する質問主意書

 水俣病は昭和三十一年五月に公式に確認された公害事件であるが、その発生メカニズムが政府によって特定されるに至るまでには十二年余という長い年月を要し、公式確認から五十三年たった今日においても、その病像や根本的な治療法は未だ確立されていない。そのため、一九六九(昭和四十四)年に提訴された水俣病第一次訴訟以降、多くの裁判や、今日、熊本地方裁判所で係争中のノーモア・ミナマタ国賠訴訟においても、病像が大きな争点となっている。一方、この間、環境庁及び環境省は、多くの医学的、法学的課題について様々な学者・研究者らに調査・研究を委嘱してきた。しかし、これらの調査・研究の実施及びその成果については、これまで必ずしも国民に明らかにされてきたわけではない。
 そこで、こうした調査・研究成果、費用対効果等を検証するため、以下のとおり質問する。

一 水俣病問題に関し、国費を使って調査・研究がなされた以上、その成果は国民に還元されるべきであり、医学的、法学的、社会学的にどのような調査・研究がどの期間になされ、どの程度の費用でどのような成果を上げているか明らかにされるべきであると考えるが、政府はどのように考えているか。

二 国から水俣病に係る調査・研究に関する資金の提供(費用)を受けた学者・研究者らは、水俣病認定審査会、審議会の委員、水俣病国家賠償請求訴訟で国側申請の証人になった者が多数あるのに対し、逆に被害者側申請の証人になった者は皆無ではないかと思われるが、政府も同様の認識であるか。もしそうだとすると、国から水俣病研究を委託された者には偏りがあるのではないかと思われるがどうか。

三 水俣病研究のうち法学的分野においてはいわゆる「水俣病裁判における法的問題に関する研究」という分野があり、加藤一郎東京大学名誉教授らが委託研究を行っていると聞いているがそのとおりか。名称が異なる場合は正しい名称と、委託研究を行った学者・研究者らの名前と当時の肩書きを明らかにされたい。

四 いわゆる「水俣病裁判における法的問題に関する研究」は、いつからいつまでどのような内容の研究が誰によって委託費いくらで行われていたかを、行った各年度ごとに明らかにされたい。また、こうした研究がどのように水俣病行政に生かされたかをもあわせて明らかにされたい。さらに、報告書等の成果物の存否及びこうした成果物の保管状況を明らかにされたい。もし成果物がないとすればその理由、仮に廃棄したというのであれば、いつ、どのような理由から廃棄したのかをも明らかにされたい。

  右質問する。