質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第二一〇号

「個別事件」に関する国会答弁についての質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年六月十八日

前川 清成   


       参議院議長 江田 五月 殿



   「個別事件」に関する国会答弁についての質問主意書

 従前より政府は国会答弁において「個別事件であるから、答弁を差し控える」等と、「個別事件」であることを答弁拒絶の理由としてきた。
 例えば、最近でも今月十一日の法務委員会において、松野信夫議員が、防衛医大教授痴漢冤罪事件に関して質問したところ、森英介法務大臣は、「個別の事件のその結果について、私の法務大臣としての所感を申し述べるのは差し控えさせて頂きたい」と答え、また松野議員の「飯塚事件について検察はもう一度見直すのか」との質問に対して、大野恒太郎法務省刑事局長も「個別事件についてはお答えを差し控えさせて頂いております」と答えている。
 ところが、他方において、同日の法務委員会において、木庭健太郎議員が「足利事件」に関して、「菅家さんは、警察から白状しろとか、お前がやったと迫られて身体を揺すられた、髪の毛を引っ張られた、不当な取り調べが行われたとおっしゃっているが、そういう事実に関して認識を持っているのか」と質問した際には、大野局長は「この事件につきましては云々」と述べて、訴訟の具体的な争点にも言及している。
 確かに、プライバシー等、事件当事者の人権に配慮すべき場合等も存するが、社会は個別事件が積み重なって成立している以上、およそ「個別事件」を理由に国会審議を拒絶してしまったならば、国会審議が成り立たないし、個別事件を離れて抽象論に終始するならば、国民生活の実態を反映しない、上滑りの観念論に陥ってしまう。
 ついては、次の通り質問する。

一 「個別事件」とは何か。

二 「個別事件」に関しては、国会議員の審議権、質問権は及ばないのか。
 及ばないと解するのであれば、「個別事件」に関しては一切及ばないのか、あるいは一定の範囲だけ及ばないのか、審議権、質問権が及ばない範囲とともに、及ばないと解する根拠について、根拠条文を明示した上で、具体的に明らかにされたい。

三 「個別事件」でありながら、前記の通り、ある時は答弁し、ある時は答弁を拒絶するのは何故か。答弁すべき場合と、答弁を拒絶すべき場合の判断基準を明らかにされたい。

  右質問する。