質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第二〇六号

JR姫新線の高速化に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年六月十一日

今野 東   


       参議院議長 江田 五月 殿



   JR姫新線の高速化に関する質問主意書

 百七名もの尊い命が犠牲になったJR福知山線脱線事故が発生したのは二〇〇五年四月二十五日だった。国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の「鉄道事故調査報告書」によると、列車が半径三百四メートルの右曲線に制限速度七十キロメートル毎時を大幅に超える百十六キロメートル毎時で進入し、左に転倒・脱線した、としている。同事故から四年を過ぎたいま、この事故の教訓を生かさぬ計画が事故当事者であるJR西日本で立てられている。それは、姫新線の「輸送改善工事」計画のことであり、多くの急カーブ箇所のある姫新線で現行の最高速度(八十五キロメートル毎時)を十五キロメートル毎時スピードアップする計画だという。あのような悲惨な事故を再発させないために、福知山線脱線事故を安全面や運転士管理の問題点から徹底的に教訓化すべきであり、国土交通省の指導・監督責任が厳しく問われていると考える。以下、質問する。

一 兵庫県が二〇〇三年にJR姫新線の利用者・沿線住民に実施したアンケートによると、改善してほしいものとして「列車本数を増やしてほしい」が七三%なのに対し、「時間短縮」は六%にすぎない。にもかかわらず、時間短縮を最優先するというJR西日本の「輸送改善工事」計画は住民や利用者のニーズからかけ離れていると思われるが、政府の見解を示されたい。

二 姫新線には制限速度五十五キロメートル毎時以下の半径三百メートル未満のカーブが二か所、制限速度六十五キロメートル毎時以下の半径三百メートル以下のカーブが姫路-上月間で三十七か所存在する。「輸送改善工事」計画はこのようなカーブの多い路線で最高速度を十五キロメートル毎時アップするというが、福知山線脱線事故を踏まえ、同計画の安全性の根拠について、政府の承知しているところを示されたい。

三 先に引いた調査報告書は事故の原因として「厳しい日勤教育又は懲戒処分等を行うという同社の運転士管理方法が関与した可能性」を指摘している。高速化によって姫路-播磨新宮間は現行三十三分を二十九分に、姫路-上月間は現行七十六分を六十五分に短縮する計画とされているが、この高速化にともなう運転士の心理的・精神的な負担を、JR西日本がどのように認識しているか、政府の承知しているところを示されたい。
 また、事故後、運転士管理方法に関して、JR西日本がどのような改善を重ねたか、政府の承知しているところを示されたい。

四 国土交通省はJR西日本に対し、事故を誘発した企業体質の改善のためにどのような指導を行ってきたか。それに対し、指導を受けたJR西日本はどのように企業体質の改善を具体化したか、明らかにされたい。

  右質問する。