質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第一九五号

ポスト京都議定書の新たな枠組みに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年六月四日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 江田 五月 殿



   ポスト京都議定書の新たな枠組みに関する質問主意書

 ポスト京都議定書の新たな枠組みに関する議論が各方面でなされている。現行の京都議定書では、世界のCO2総排出量の三〇%をカバーするにとどまり、全ての国が参加できる枠組みになっていない。
 また、世界の主要な鉄鋼メーカーなどのうち日本のメーカーだけが京都議定書における実質的なCO2の排出制限を受けることになっており、業界においても公平な措置となっていないのが実情である。
 京都議定書が世界に発したメッセージは大変意義深いものであると認識しているが、今後、こうした実情を踏まえて、更なる改善を求めるところである。
 そこで、以下質問する。

一 CO2を大幅に削減するためにはエネルギーの消費を抑える必要があり、経済活動への影響が懸念される。また、この課題を解決するためのコスト負担については、事業者が負うのか、国が負うのか明確な議論がなされていない。
 経済活動の活性化とエネルギー消費抑制の両立を図るためのコスト負担について、政府の認識を示されたい。

二 常に日本の産業は技術革新を続けており、GDPあたりのCO2排出量は米国の半分、中国の十一分の一などと、低炭素社会への変貌を遂げつつある。
 こうした中にあって、産業界に更なるCO2排出の削減を求めることは、困難であり、業界の実情に応じた新たな考え方が必要であるが、政府の認識を示されたい。

三 政府が産業界にCO2の更なる削減目標を課することになれば、産業界は排出権購入のための負担を強いられ、生産水準を抑制せざるをえない状態に陥る。
 こうした事態になれば我が国産業の国際競争力は低下し、結果として、低炭素型生産技術を身につけた日本の製造業は、削減目標を持たない諸外国に移転していく可能性がある。これでは、CO2が地球規模では増加する、カーボンリーケージ現象を引き起こしてしまう。
 このカーボンリーケージ現象の具体的な防止策と、我が国産業の国際競争力維持策について、政府の認識を示されたい。

四 ポスト京都議定書の新たな枠組みについては、全世界的に産業別の排出量削減目標を掲げ、環境的にも経済的にも全世界的に公平な目標値とすべきであるとともに、等しく各国に協力を求めるべきであるが、この全世界的な産業別排出量削減目標の設定について、政府の認識を示されたい。

  右質問する。