質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第一九〇号

原爆症認定訴訟に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年六月一日

加賀谷 健   


       参議院議長 江田 五月 殿



   原爆症認定訴訟に関する質問主意書

 国は今年三月二十五日に、肝硬変などを患う千葉県在住の被爆者を原爆症と認定した東京高裁判決に対し最高裁に上告し、同時に国家賠償を命じた広島地裁判決に対し広島高裁に控訴した。原告・弁護団は東京高裁判決に対し「幅広く原爆症と認定する、被爆者を勇気づける判決」と高く評価する一方、国に対して「いたずらに審理を長びかせるもので、病身の被爆者にさらなる苦痛を与える」「原告は次々と亡くなり、体力もなくなっている。厚労省は被爆者の実態に目を向けるべきだ」と訴えている(三月二十六日付け朝日新聞)。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 原爆症認定訴訟については今月二十八日の東京高裁でも原告勝訴の判決が出され「国が十八連敗」などといわれるように、原告の主張を認める裁判所の判断が続いている。こうした中で国が今回上告、控訴した理由は何か。

二 舛添厚生労働大臣は、本年三月二十五日の衆議院厚生労働委員会で、同日朝の新聞報道が「厚労省が上告する意向を固めた」と伝えたことに対し、「政府として、この二つの判決に対してどういう対処をするか、まだ検討中でありますが、皆さん御高齢になっていますので、一日も早い解決のために真摯に取り組みたいと思っております」と答弁している。また、同日民主党が舛添大臣に対し、上告せず早期解決を図るよう申し入れた際には、「上告する」との報道について「あれは間違った報道だと今日の厚労委員会でも答弁した」と言明している。委員会答弁の趣旨や、民主党に対する発言に反し、しかもその当日に上告を決めたのはなぜか。大臣の意向に反し、厚生労働省が上告等を決めたのか、それとも舛添大臣が嘘をついたのかどちらか明らかにされたい。

三 政府は、被爆者が高齢となっている実態を直視し、「一日も早い解決のために真摯に取り組む」のであれば、上告・控訴を取り下げるべきと考えるが、その考えは全くないのか示されたい。

四 一連の裁判所の判断を尊重し、かつ政府が国民の生活と命を大切と考えるなら、被爆者のがんや肝機能障害等を原爆症として積極認定すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。