質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第一八三号

学校における児童・生徒への健康教育の充実に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年五月二十八日

谷岡 郁子   


       参議院議長 江田 五月 殿



   学校における児童・生徒への健康教育の充実に関する再質問主意書

 前回提出した「学校における児童・生徒への健康教育の充実に関する質問主意書」(第一七一回国会質問第六〇号)の答弁書(内閣参質一七一第六〇号)において、学校における健康教育について、政府もその重要性を認識していることを確認したが、個別の点において疑問が残る点があるため、再度質問する。

一 答弁書の「三について」では、高等学校では養護教諭を必置にしていない理由についての質問に対して、「高等学校については、生徒が自主的に自らに関する保健衛生の充実向上を図ることができる」ことを理由として、養護教諭を必置としていないとしているが、そもそもどのような意味で「自主的に」という語を用いているのか、説明を求める。
 また、この回答からは、高校生の「自らに関する保健衛生の充実向上」は「自主的に」行われるものであり、専門的な助言を行う指導者は必要ないとの理由で、養護教諭は必置としていないと解釈できる。高校生の自主性は歓迎すべきものであるが、自主性と指導者の必要性は別問題である。政府は、高校生の保健衛生の充実向上は「自主性」のみにまかせ、指導者は不必要と考えているのか、明確に答えられたい。

二 答弁書の「四について」では、幼稚園では養護教諭を必置にしていない理由についての質問に対して、「幼稚園については、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とすることから、教諭が幼児の健康に配慮することを考慮し、養護教諭を必置としていない」と回答している。他方、答弁書の「七について」においては、「養護教諭の職務は高い専門性が求められる」と記されている。両者を併せて考えると、幼稚園教諭には養護教諭の持つ高い専門性が求められていると解釈せざるを得ない。しかし、幼稚園教諭の教員養成課程において、養護教諭の課程に匹敵するだけの履修項目はなく、いかなる段階で、幼稚園教諭が養護教諭並みの高い専門性を獲得するのかがわからない。政府は、幼稚園教諭が養護教諭に代わって求められている「幼児の健康に配慮する」ための高い専門性をいかにして担保していると考えているのか、見解を示されたい。

三 答弁書の「六について」では、養護教員の複数配置の基準を問うた質問に対して、「養護教諭等の数の標準は、保健室における児童生徒に対する相談活動に適切に対応する必要があること等を総合的に勘案して定めた」と回答している。ここで例示されている「保健室における児童生徒に対する相談活動に適切に対応する必要があること」とは、どのような基準なのか、例えば保健室における一日の平均利用人数なのか、具体的に示されたい。また「総合的に勘案」という語を使用する場合、そこに含まれる主要な基準項目を示さなければ、何も言っていないに等しい。「総合的に勘案」する際に用いられる主要基準項目をすべて明示されたい。

四 答弁書の「七について」では、養護教諭と養護助教諭との一本化についての見解を求めた質問に対して、「養護教諭の職務は高い専門性が求められることから、それにふさわしい知識技能を身に付けていることが必要であり、(中略)このような知識技能を身に付けていることを必要としていない養護助教諭を養護教諭として採用することができることとすることは困難である」と回答している。確かに、養護教諭と養護助教諭の違いは、教員免許法第五条第五項に定められているように、養護教諭の免許の有無となっている。しかし、養護学校等において、医療的なケアの必要性から看護師免許所持者を養護助教諭として採用している例外的ケースがあるものの、現在、養護助教諭として採用されている大多数は養護の教員免許を有しているのが実態である。そこで、答弁書にある「高い専門性」を証明するものは、養護の教員免許であるかどうかを確認したい。また、養護の教員免許を持つ養護助教諭は、養護教諭と同等の高い専門性にふさわしい知識技能を有していると認識しているのか、見解を問う。

五 右記質問に関連して、法律上、養護助教諭は養護教諭の免許を持たなくても良いことになっているが、実態はほとんどの養護助教諭は養護教諭の免許を有しており、また養護教諭の免許を持たない一部の養護助教諭も看護師免許など専門的な資格を有している。このような法律と実態のズレを政府は認識しているのか、否か。また、このような法律と実態のズレに対して、いかなる対応を考えているのか、見解を問う。

  右質問する。