質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第一六七号

診療報酬オンライン請求の義務化に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年五月十八日

松野 信夫   


       参議院議長 江田 五月 殿



   診療報酬オンライン請求の義務化に関する質問主意書

 厚生労働大臣による二〇〇六年四月十日付「療養の給付、老人医療及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令の一部を改正する省令」(平成十八年厚生労働省令第百十一号)により、二〇〇八年四月から段階的に、二〇一一年四月からは原則的に全ての医療機関は診療報酬をオンライン請求することが義務化されることになった。政府はITによる医療の構造改革を行うとして、診療報酬オンライン請求の義務化を医師会ら関係者の反対にもかかわらず強引に進めようとしている。確かにIT活用の有用性は一概には否定できない。しかし、医療機関での受診内容や健診データなど、国民の個人情報を生涯にわたって国家管理し、それをもとに疾病別の医療標準化を推し進め、結果、医療費抑制と医師及び歯科医師の診療行為の抑制につながるおそれもあり、拙速な導入は医療現場に混乱すら招きかねない。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 政府は、個人開業医の開設する診療所の場合、診療報酬オンライン請求義務化によって、平均どの程度の負担増になると考えているか。一定の負担増が予測される場合、負担軽減のためどのような施策を行う予定があるか。

二 政府は、診療報酬オンライン請求義務化に対応できない医師及び歯科医師はそれぞれどの程度存在すると考えているか。また診療報酬オンライン請求義務化に対応できないため廃業を余儀なくされる医師及び歯科医師はそれぞれどの程度存在すると考えているか。

三 近時、地域医療の崩壊や医師不足が問題視されている状況下で、診療報酬オンライン請求義務化を強行すれば、状況はますます悪化、深刻化すると思われるが、政府にはこうした認識があるか。認識があるとすれば、どのように対処する予定か。

四 診療報酬オンライン請求義務化は、医師及び歯科医師の診療報酬請求方式を大きく変更するもので、単なる手続き的変更ではなく、医師及び歯科医師に新たに多大な義務ないし負担を設ける制度である。このように新たに多大な義務を課する場合には、省令ではなく法改正に基づくべきと考えるが、政府にはこうした認識があるか。それとも今回の義務化は新たに多大な義務を課したものではないから法改正までの必要性はないという解釈であるか。

五 政府は、診療報酬オンライン請求が義務化された後に、医療機関が従来どおり書面もしくはフロッピーディスク等電子媒体を提出して診療報酬の請求を行ったとしても、請求には応じないで良いという考えか。あるいは、この場合も診療報酬請求権の行使に該当し、請求に応じた支払いがなされない場合には相当期間経過後に遅延損害金が発生するという解釈で良いか。

  右質問する。