質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第一五〇号

全国学力・学習状況調査の有効性等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年四月三十日

松野 信夫   


       参議院議長 江田 五月 殿



   全国学力・学習状況調査の有効性等に関する質問主意書

 全国学力・学習状況調査は二〇〇七年から全国の小中学校の最高学年の生徒全員を対象として毎年一斉に行われているが、その必要性及び有効性には疑問があり、また実施に向けた方法にも問題がある。文部科学省は約六十億円という多額の費用を使っているが、教育現場からは疑問の声も多い。本当に必要な調査か否か検証する必要があると思われるので、以下のとおり質問をする。

一 政府は、全国学力・学習状況調査を悉皆で行う理由として、国が全国の状況を把握・分析し、その後の教育施策に活かす等としているが、具体的にこれまでどのように活かしているか。主な具体例を三点示されたい。

二 全国学力・学習状況調査は、かかる労力と費用に見合う効果が得られない、得点競争と序列化をもたらすだけではないか、出された結果は取り立てて目新しいものはなく現場の教師が分かっている内容ばかりだ、毎年一斉に行う必要性はない等との批判が強い。政府は、こうした批判をどのように受け止めているか。また、こうした批判を受け止めて、全国一斉の調査を見直す予定はないか。

三 全国学力・学習状況調査実施要領は市町村別や学校別の成績を公表することを禁じているにもかかわらず、各地で公表される事例が頻発している。政府はこうした公表をどのように受け止めているか。また、こうした実態を受け止めて、公表禁止の実効性をどのように確保していくつもりか。あるいは公表禁止そのものを見直す予定があるか。

四 地方自治体によっては良い成績結果が出るように、全国学力・学習状況調査のための特別対策として民間の塾講師を活用した学習訓練、反復学習用の携帯ゲーム機等の活用策を講じるところもあるようであるが、こうした対応についてはどのように評価しているか。
 また、ある自治体では教育事務所長名で、「四月二十一日(火)は、全国学力・学習状況調査です。一年に一回の学力の全国大会です。自分の力を試すとともに、それぞれの学校の名誉と誇りにかけて精一杯頑張ってほしいと思っています。最後まで粘り強く挑戦してください。」との文書を生徒に配布して叱咤激励しようとしたが、こうした文書を配布してまで対策を講じることは、子どもたちを点数至上主義の教育へ向かわせるものとして適切ではないと考えるが、どうか。それとも全国学力・学習状況調査の目的に資するものと評価するか。

  右質問する。