質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第一三八号

裁判官の非行と報酬等に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年四月十六日

松野 信夫   


       参議院議長 江田 五月 殿



   裁判官の非行と報酬等に関する再質問主意書

 裁判官の不祥事に関して、裁判官が受け取る報酬の範囲、訴追委員会及び弾劾裁判所における罷免手続き等について平成二十一年四月一日に質問主意書(質問第一〇二号)を提出したところ、さる四月十日に質問主意書に対する答弁書(内閣参質一七一第一〇二号)を受領したが、極めて不十分な答弁内容であるので、以下のとおり再度質問する。

一 憲法第八十条第二項に規定する報酬には退職手当は含まれないとの答弁であるが、一般的に退職手当の法的性格は賃金や給与の一部であり、その後払いという解釈がなされている。政府はこの解釈を採用しないということか。

二 政府の解釈を前提にすると、裁判官に支払われる退職手当は、憲法第八十条第二項に規定する報酬には含まれないのであるから、一定の正当な理由があれば退職手当を減額したり不支給にしたりすることは右憲法の規定に違反しないということでよいか。

三 最近二十年間で、裁判官に対して国家公務員退職手当法に定められたとおりの退職手当が支給されなかったという事例があるか。あればその件数と減額等された理由を明らかにされたい。

四 一定の非行が認められる裁判官に対して退職手当を支給しないものとするには特別の立法措置が必要であり、こうした立法措置を講じることは憲法第八十条第二項には抵触しないという理解でよいか。

五 下級裁判所の裁判官の任期が満了すると裁判官の身分を喪失してしまうため、もはや訴追請求及び弾劾裁判所による裁判を遂行することができなくなる。また、下級裁判所の裁判官が公職選挙法に定める選挙に立候補すれば自動的に裁判官の身分を喪失するので、同様に訴追請求等ができなくなる。政府はこうした事態を防止するための対策を講じる用意があるか。あるとすればどのように講じるつもりか。

六 憲法第六十四条第一項は国会への弾劾裁判所設置を規定しているが、裁判官弾劾法によれば弾劾裁判所のなしうる裁判は、結論として裁判官を罷免するか否かのみとなっている。政府の解釈は、弾劾裁判所のなしうる終局的な裁判は、裁判官に対して罷免するか否かのみでしかないというものであるか、それとも裁判官弾劾法の改正を行えば、裁判官の身分を剥奪まではしないような軽微な裁判、例えば戒告、短期間の職務停止等の裁判を行うことは憲法の規定に抵触しないという理解であるか。

  右質問する。