質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第一二八号

障害の範囲見直しと支給決定に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年四月十五日

谷 博之   


       参議院議長 江田 五月 殿



   障害の範囲見直しと支給決定に関する質問主意書

 私は、障害の範囲見直しに関する質問主意書(第一七〇回国会質問第一二一号)に対する答弁書(内閣参質一七〇第一二一号。以下「第一二一号答弁書」という。)を受領したが、私の質問の趣旨を踏まえず、一つ一つの質問をはぐらかしており、全く答弁になっていない。難病患者等の福祉に関する質問主意書(質問第九九号)で指摘したとおり、介助等を必要としているが入り口で排除されている難病等の当事者の生活は逼迫しており緊急を要することから、改めて以下質問する。なお、別の聞き方をするので、今度こそ、一つ一つの質問の意図・趣旨をしっかり踏まえ、はぐらかさず真摯に答弁されたい。

一 第一二一号答弁書では「医師の意見書等によっては、障害の程度がサービス給付の対象となる程度のものであるか否かを具体的に判断することは困難である」とのことだが、障害認定医の意見書によって、身体障害者福祉法の別表にある他の障害と同程度であることの証明は、少なくとも公営住宅法においてすでに認められていると認識している。身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳、療育手帳を持っていない者であっても、障害認定医の意見書によって、身体障害者や精神障害者、知的障害者と同様のサービスを利用できる法律・制度は公営住宅法以外にどのようなものがあるか。

二 公営住宅法及び右一の答弁にある法律・制度において、身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳、療育手帳を持っていない者であっても、障害認定医の意見書によってサービスを利用できるのは、いかなる理由か。法律・制度ごとにその理由を明らかにされたい。

三 公営住宅法における右のような取り扱いと比べ、難病患者等が身体障害者手帳を所持していないが故に給付を受けることができない障害者自立支援法は、制度間の均衡を欠くのではないか。

四 第一二一号答弁書で障害者自立支援法の一定の要件と回答している次の項目は、何を判定し、何をアセスメントするためのものか。それぞれ明確に答弁されたい。

1 要介護認定と同様の一次判定
2 障害程度区分認定独自の調査等を踏まえた二次判定(具体的にはIADLスコア及び行動障害スコアなど)

五 右四に述べた一連の判定の後、市町村において審査会等の支給決定がなされているが、この段階においては、何を判定し、何をアセスメントするためのものか。次のそれぞれに明確に答弁されたい。

1 右四の1及び2の結果、精神面やコミュニケーション、視覚的認識に関する判定を行うC項目群の調査結果、認定項目特記事項、医師の意見書、以上を勘案して行われる区市町村における審査会による二次審査
2 右四の1及び2、五の1を踏まえ、区市町村で行われる最終的な支給決定

六 第一二一号答弁書で明確な答弁がなかったので、もう一度確認する。障害認定医による、身体障害者福祉法の別表にある他の障害と同程度であることを証明する医師の意見書を提出した上で、かつ、四の1及び2、五の1及び2のアセスメントをすれば、障害の程度がサービス給付の対象となる程度のものであるか否かを具体的に判断することは可能ではないのか。可能でないとするなら、できない理由を具体的に答弁されたい。

七 「医師の意見書等によっては、障害の程度がサービス給付の対象となる程度のものであるか否かを具体的に判断することは困難である」理由を明確に答弁されたい。

八 第一二一号答弁書では、「身体障害者福祉法第四条に規定する身体障害者は、障害者自立支援法第四条第一項に規定する障害者に該当し、同法上、一定の要件を満たす場合には、障害福祉サービスを受給することができる」ので、障害者自立支援法は入り口規制をしていないとの答弁だが、身体障害者福祉法第四条の別表に、次に例示する障害を持つ方々の基準自体が存在しないのではないか。既存の身体障害者福祉法の基準に該当すれば対象となるといった木で鼻をくくったような答弁でなく、次に例示する障害の基準が存在しているか、それとも存在していないか、明確に答弁されたい。

1 肝臓、すい臓、胆道の障害
2 膠原病等の、HIV以外の免疫系の障害
3 血液・リンパ系の障害
4 糖尿病等の代謝及び酵素系の障害
5 皮膚の障害

九 障害福祉サービスの申請すらできない右八で尋ねた方々については、障害者自立支援法上、入り口規制をしていないとどうして言えるのか。はぐらかさず明確に答弁されたい。

十 身体障害者福祉法第四条において、活動障害は認められても、原因となる機能障害の違いによって、障害認定されずに排除されている障害がある。具体的には二キロメートル歩行できるかどうかという判定項目があるが、筋肉、骨格、神経に原因が認められる機能障害がある者にのみ限定して適用され、筋肉、骨格、神経に原因がなく、肝臓やすい臓等の内部障害、免疫、血液、代謝等の障害のみの原因で二キロメートル歩行できない者が障害認定されないのは、それらの者を入り口で排除していることに他ならないのではないか。

  右質問する。