質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第一〇四号

青田買い禁止の推進に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年四月一日

藤末 健三   


       参議院議長 江田 五月 殿



   青田買い禁止の推進に関する質問主意書

 現在、大学生の就職内定取り消しが深刻な社会問題となっている。その原因の一つは、青田買いといわれる早すぎる就職活動にあり、これは、すべての関係者にとってマイナスであると考える。
 まず一番の被害者は学生である。大学生は三年生になるとインターンシップの選考が始まり、秋になると企業説明会への参加や企業回りに追われるようになる。授業より就職活動を優先し、四年生のはじめには、就職先が内定するという状況が常態化している。
 一方、企業の側は、まだ専門的な勉強をしておらず、職業の適性を十分に考えたこともない学生を相手に採用を決めるため、リスクが大きく若者の早期退社につながっていると考えられる。
 大学にとっては、学生に就職活動をやめろというわけにもいかず、ゼミや実習の日程調整に支障が生じている。この状況においては、高い教養と専門的能力を培うことにより、社会の発展に寄与するという大学教育の責任が果たされていないと言わざるを得ない。
 かつて、企業と大学の間には就職協定があり、会社訪問は大学四年生の八月二十日、内定は十一月一日が解禁日とされていた。この協定は一九九六年に廃止され、就職活動の開始時期は約一年早まってしまった。
 経団連は二〇〇三年、「卒業学年に達しない学生に対して、面接など実質的な選考活動を行うことは厳に慎む」との倫理憲章を発表したが、残念ながら守られていない状況にある。それどころか、企業は色々な名目で大学三年生を対象にした説明会を開催しており、実態としては就職活動がさらに早まる傾向さえみられる。
 そこで、以下質問する。

一 現在の大学生の就職活動を取り巻く状況に対し、政府としてはどのような見解を有しているか、明確に回答されたい。

二 大学の教育の充実を進めるためにも青田買いの自主規制を守るべきと思うが、経団連の倫理憲章がなぜ今守られていないと考えるか、政府の見解を示されたい。

三 現実に、当事者の自主規制は守られておらず、学生が犠牲となっている状況を踏まえると、日本の大学教育を正常化するために法律を制定することが必要だと考えるが、いかがか。

四 アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどにおける就職採用時期の実態はどうなっているのか、政府は把握しているか。把握しているのであれば、概要を示されたい。もし把握していないようであれば、至急調査すべきと考えるが、いかがか。

  右質問する。