質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第一〇二号

裁判官の非行と報酬等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年四月一日

松野 信夫   


       参議院議長 江田 五月 殿



   裁判官の非行と報酬等に関する質問主意書

 近時、裁判官の不祥事が散見されており、中には弾劾裁判所で罷免される裁判官もあるが、由々しきことである。そして、裁判官の任期が満了に近い時には事実上、訴追や弾劾裁判所による裁判が困難となる事案や、直ちに辞任があった場合にはそもそも訴追できない事案もある。憲法上は司法の独立や裁判官の身分保障が定められており、この点は十分に尊重しなければならないが、他方、近時の不祥事発生を見ると、法整備が必ずしも十分ではないのではないかと思われる点も存在する。
 そこで、裁判官の非行がある場合の法整備の実情と解釈を確認する必要があるので、以下のとおり質問をする。

一 憲法第八十条第二項では「下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。」と定めているが、この報酬の中には退職金も含まれるか。

二 仮に非行を犯した裁判官が辞任の申出をしてきた時に、最高裁判所がこれを受理すれば、現行法上、もはや訴追請求及び弾劾裁判所による裁判を行うことができないと解されるが、そのとおりか。仮に最高裁判所が受理しないで、訴追請求及び弾劾裁判所による裁判の結果が出されるのを待って受理することは現行法上問題はないか。
 こうした場合、国会において訴追請求及び弾劾裁判所による裁判が進行している間は当該裁判官の辞任を受理してはならない旨の法律を制定することは、裁判官の身分を保障する憲法に抵触しないか。

三 裁判官の任期満了が接近していて、訴追請求及び弾劾裁判所による裁判の結果を待っていると任期が満了してしまうことが予想される時に、現行法上、訴追請求及び弾劾裁判所による裁判を裁判官の任期よりも優先させることは可能か。もし可能ではないとした場合に、新たに法律を制定することで訴追請求及び弾劾裁判所による裁判を裁判官の任期よりも優先させることは憲法の規定に抵触しないか。

四 現行法上は、裁判官の非行に対しては弾劾裁判所による裁判による罷免のみが規定されているが、仮に罷免までは至らないより軽度な非行の場合に、弾劾裁判所において罷免よりも軽微な裁判を行う制度を法律によって新設することは憲法の規定に抵触しないか。

  右質問する。