質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第九九号

難病患者等の福祉に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年三月三十日

谷 博之   


       参議院議長 江田 五月 殿



   難病患者等の福祉に関する質問主意書

 国の難病患者等居宅生活支援事業については、昨年十二月九日に参議院厚生労働委員会で質問をしたところであるが、その後の調査結果も確認したいので、以下質問する。

一 多発性肝嚢胞及び多発性嚢胞腎(難治性疾患克服研究事業対象疾患)を併発した四〇代の女性一名が、難病患者等居宅生活支援事業は実施していない福島県の某市に在住している。腹水がたまり、内臓を圧迫。発熱、しびれ、利尿作用等、立っているのもやっとの状態だが、身体障害者福祉法上の認定基準に当てはまらず、障害者手帳を取得できないでいる。家事支援、通院介助等すぐにでも介助が必要な状態である。この方のケースのように、住んでいる自治体が難病患者等居宅生活支援事業を実施しておらず、今すぐ必要なヘルパーサービス等を受けることができずに、障害や生活困難度が重度化したり、生命が大変危険な状況に追い込まれている方が全国に多く存在している実態について、政府は承知しているか。

二 難病患者等居宅生活支援事業は、全国で二割程度の自治体しか実施していないと認識しているが、実際どのくらいの自治体が実施しているのか。

三 難病患者等居宅生活支援事業の対象も難治性疾患克服研究事業の対象者のみに制限している。しかし難治性疾患克服研究事業の対象に含まれていない難病患者で、居宅サービスを必要としている若年者も全国に多数存在している事実を政府は認識しているか。

四 難病患者等居宅生活支援事業においても、疾患の種別で対象かどうかを規制するのではなく、同じような社会的、日常生活の制限が継続していることに着目して支給決定すべきではないか。

五 障害認定医の意見書で身体障害者と同程度の障害が継続していることが確認できれば、全国で二割程度しか実施していない難病患者等居宅生活支援事業ではなく、障害者自立支援法等のように、全国どこに住んでいても利用できる制度で早急に措置すべきと考えるがいかがか。

六 政府は、障害に難病や慢性疾患を含めない理由の一つとして、一時的な病気と難病、慢性疾患等の区別がつかないからであるとの認識を持っているか。

七 現在の身体障害者福祉法上の障害者認定においては、有期限で再認定することができるのであり、一時的な病気とは現制度において十分区別できているのではないか。また障害者自立支援法においても六ヶ月以上での再認定という仕組みにより対応できているのではないか。治らない病気があるから難病、慢性と名前がつけられていることを踏まえ、一生難病等とともに生活する者が制度の狭間におかれている事実から目をそむけず、話をはぐらかさずに真摯に答弁されたい。

八 障害者自立支援法上の障害福祉給付において、身体障害者福祉法上の障害者手帳所持を要件とする理由の一つとして、加齢により支援を要する人も障害福祉給付の対象となってしまうのは問題があるとの認識を持っているか。

九 現状においても加齢により支援を要する人は、身体障害者手帳を取得し、障害福祉給付の対象となっている一方で、身体障害者手帳を要件としない介護保険給付の対象にもなっている方も大変多い。つまり加齢により支援を要する人は現在も二つの制度を利用している。従って、加齢により支援を要する人が対象に入らないように、障害者自立支援法上、身体障害者手帳の所持を要件としているという論理は間違っているのではないか。

  右質問する。