第171回国会(常会)
質問第九二号 捜査情報の漏洩に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成二十一年三月二十七日 松野 信夫
参議院議長 江田 五月 殿 捜査情報の漏洩に関する質問主意書 警察及び検察が捜査過程で入手する捜査情報は、適正な捜査の確保やプライバシー保護の観点から秘匿性が高いとされているが、近時、マスコミ報道からみてこうした捜査情報が漏洩されているのではないかと思われる事案が散見される。時には世論形成上、警察ないしは検察が意図的にリークしているのではないかとの疑いすら生じかねない事案もあり、看過できない。 かかる事態は警察及び検察の公平性及び公正性に疑念をもたらす重大な問題であり、この際、事実関係や政府解釈を確認する必要がある。 そこで、以下のとおり質問する。 一 捜査官が刑事事件の捜査の過程で入手し、秘密であるべき捜査情報を漏洩することは許されないと考えるが、政府も同様の認識であるか。また、こうした捜査情報を意図的に漏洩することは、国家公務員法の守秘義務違反に問われることになるのではないか。 二 国家公務員法第百条の「職務上知ることのできた秘密」とはどのようなものと理解しているか。例えば、被疑者が否認しているか自白しているか、あるいは途中から自白に転じたか、どのような参考人を呼んで事情聴取しているか、もしくはする予定であるか、また呼ばれた参考人がどのような供述をしているかなどの事実は職務上知ることのできた秘密というべきものか。 三 刑法第百三十四条は、医師、薬剤師らが、「正当な理由がないのに」人の秘密を漏らしたときに罰則が科せられることになっているが、国家公務員法上は「正当な理由」の有無は問われておらず、単に職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならないとされている。同じ漏洩であっても「正当な理由」という要件の有無によって何らかの違いがあるか。例えば、国家公務員の場合は捜査情報を含め、もともと漏洩すること自体が違法性が高く許されないと解されるからと理解してよいか。 四 捜査情報の漏洩は、マスコミに対する漏洩もそれ以外の関係者に対する漏洩も、守秘義務違反の有無については同様であるという理解でよいか。 五 直近の十年間で、捜査情報の漏洩について守秘義務違反で立件された事案があれば年度別の件数及びその判決結果などを明らかにされたい。また立件までには至らなくても、内部の規律違反などで何らかの指導や制裁などの処分を科した事案があれば年度別の件数及びその処分結果を明らかにされたい。 六 政府は、捜査情報の漏洩が重大な問題であるとの認識があるか。あるとすればその防止をどのように図ってきているか。 右質問する。 |