質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第九一号

民間企業作成の副教材に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年三月二十六日

喜納 昌吉   


       参議院議長 江田 五月 殿



   民間企業作成の副教材に関する質問主意書

 一民間企業である三菱商事が、小学五、六年生向けの社会科副教材「世界をむすぶ産業と貿易」を作成し、来月(四月)から東京都内の小学校などに計一三万六五〇〇部を無料で配布することが明らかになった。これは明らかに民間企業による公教育への介入とも受け取られ、問題があると考えられる。よって、以下質問する。

一 三菱商事による副教材作成、および、その小学校などへの無料配布について、文部科学省(以下「文科省」という。)は、教材の選定および承認に直接的には関与しないにせよ、教育の最高行政機関として当然、把握していたと思われる。把握していたか否かを明らかにされたい。

二 今月(三月)九日付の朝日新聞記事によると、配布には「小学生にはなじみの薄い総合商社の役割を知ってもらう」という目的も含まれているという。小学生に総合商社の役割を知らせる必要があるとは思えない。手前味噌すぎる。文科省は、教科書検定については極めて厳しい態度をとってきたが、文科省の管理の枠外で民間企業が恣意的に副教材を作成し配布できるとすれば、教科書検定の意味が薄められる恐れがないとは言えず、極めて由々しい事態が生じないともかぎらない。このような検定に関わる懸念について、文科省の考えを明らかにされたい。

三 民間企業作成の副教材に教育上、好ましくない点が見つかった場合、文科省は何らかの指導をすることが制度上、可能なのか否か、明らかにされたい。

四 文科省は、現行のような副教材作成および配布の方法が望ましいと思うか否か、改善の余地があるかないか、それぞれ明らかにされたい。また、改善の余地がある場合は、どのような点なのか、明らかにされたい。

五 この三菱商事による副教材作成および配布は、公教育への民間企業の介入とも受け止められる。この点に関して文科省は、どう受け止めているか、明らかにされたい。

  右質問する。