質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第八八号

介護保険制度における要介護認定の改定と介護予防事業に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年三月十八日

大河原 雅子   


       参議院議長 江田 五月 殿



   介護保険制度における要介護認定の改定と介護予防事業に関する質問主意書

 介護保険制度は、二〇〇九年度から第四期介護報酬、改定要介護認定が実施される。二〇〇六年度の改正介護保険法施行以降、要支援認定、要介護認定を受けた利用者から、「身心の状態が変わらないのに、介護度が軽くなった」、「介護予防サービスでは、必要なサービスが利用できない」、あるいは「施設サービスの利用者負担が増え、家計が苦しい」といった声が寄せられている。また、要介護度にかかわらず、訪問介護の生活援助が利用できないという事例もある。
 このため、二〇〇九年度から、さらに給付抑制が強まるのではないかという強い懸念の声がある。
 介護を必要とする被保険者にとって影響の大きい、要介護認定改定について、またそれに関連する地域支援事業における介護予防事業の取扱いの変更について、以下の質問をする。

一 要介護認定改定について

 今回の要介護認定の改定にあたっては、二〇〇六年度に現行の訪問調査項目八十二調査項目に百十項目を追加して、施設サービス利用者を対象に「高齢者介護実態調査」が実施された。その後、第一次モデル事業では、合計百九十二項目から百四項目を削除し、実施された。そして、二〇〇八年度には、合計八十八項目から十四項目を削除し、コンピューターによる一次判定ロジックも変更して、第二次モデル事業が実施された。それらの結果をもとに、二〇〇九年度からの要介護認定の改定を実施予定と理解していたが、二〇〇九年二月に公表された『要介護認定調査員テキスト二〇〇九』では、認定調査員による訪問調査項目の選択基準についても変更が加えられていることが明らかになった。
1 選択基準の変更については、二〇〇六年度に研究事業が行われたとのことだが、研究事業の調査対象者数、現行の認定結果との相違など、具体的な研究結果について示されたい。
2 二〇〇九年度から実施される要介護認定に先立ち、二〇〇八年度に第二次モデル事業が行われたが、選択基準の変更は盛り込まれていなかったと認識している。なぜ、選択基準の変更を加えずに、第二次モデル事業を実施したのか、その理由を示されたい。
3 訪問調査項目は結果として、現行八十二項目から七十四項目に削減されたが、削減された八項目は主治医意見書において反映されると説明されている。第二次モデル事業では、主治医意見書に削減された八項目がどのように記述されたのか、具体的に示されたい。また、二〇〇〇年度以降、各年度の主治医に対する研修の実施状況を参加人数なども含めて具体的に示されたい。さらに、二〇〇九年度以降の主治医意見書についての研修は行われるのか、研修において八項目の記述を求めているのか、示されたい。
4 選択基準の変更については、介助が行われていない場合は「自立(介助なし)」を選ぶことが指示されていたが、二〇〇九年三月十六日に発出された『介護保険最新情報』六十六では、「一般の方々からの意見を踏まえ、『介助されていない』に改める予定です」との記述がある。選択項目を「自立(介助なし)」から「介助されていない」に文言を変更したことにより、どのように認定結果が変わるのか、具体的な説明を示されたい。
5 二〇〇九年二月に公表された『介護認定審査会委員テキスト二〇〇九』では、要介護認定の二次判定を行うために検証すべき項目となっていた、(一)日常生活自立度の組み合わせによる要介護度別分布、(二)要介護度変更の指標、(三)状態像の例、の三項目が削除され、認定審査会においては検討されないことに変更されている。この変更の理由と、認定結果に与える影響について、具体的な説明を示されたい。

二 地域支援事業における介護予防事業の取扱いの変更について

 地域支援事業においては、介護予防事業が実施されている。三月十三日に発出された事務連絡「地域支援事業における介護予防事業の取扱いの変更等について」では、要介護認定における非該当者を特定高齢者の候補者とみなす取扱いが示されている。一方で、パブリックコメント「特定高齢者候補者及び特定高齢者に関する取扱いの変更等について」は、二〇〇九年二月二十六日から三月二十七日まで、募集期間中となっている。
1 パブリックコメントは、行政手続法にもとづき、行政機関が実施しようとする政策について、あらかじめ国民から意見を募り、意思決定に反映させることを目的としていると理解しているが、募集期間終了を待たずに、また、意見の集約と検証をすることなく、事務連絡を発出された理由について、示されたい。また、事務連絡を発出したあとに集約された意見についての取扱いを示されたい。
2 二〇〇六年度から実施されている特定高齢者施策の実施状況について、基本チェックリストを実施した者の数、そのうち特定高齢者候補者となった者の数、特定高齢者決定者数、特定高齢者施策への参加者数を各年度ごとに示されたい。
3 特定高齢者施策には、(一)運動器の機能向上、(二)栄養改善、(三)口腔機能の向上、(四)閉じこもり予防・支援、(五)うつ予防・支援、(六)認知症予防・支援の六メニューがあるが、メニューごとの各年度の参加者数とメニューごとの実施効果について具体的に示されたい。

  右質問する。