質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第八二号

漆間巌内閣官房副長官の「自民党には捜査が及ばない」との趣旨の発言に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年三月十二日

松野 信夫   


       参議院議長 江田 五月 殿



   漆間巌内閣官房副長官の「自民党には捜査が及ばない」との趣旨の発言に関する質問主意書

 西松建設の違法献金問題については、民主党小沢一郎代表の公設秘書が逮捕されているが、この事件に関連して、漆間巌内閣官房副長官がマスコミとの懇談の場において、「自民党には捜査が及ばない」との趣旨の発言をしたと報じられている。麻生太郎内閣総理大臣は、本年三月九日午前の参議院予算委員会で、いったんは報道機関の誤報である旨答弁したが、その後、この誤報答弁を撤回し、同日午後の同委員会では「副長官の記憶と記者の受け止めにずれがあったというのが正確なところだ」と修正している。他方、漆間内閣官房副長官は、「自民党には捜査が及ばない」との趣旨の発言は記憶がないなどと開き直っている。
 かかる事態は検察の公平性に疑念をもたらす重大な問題を内包しており、この際、事実関係や政府解釈を確認する必要がある。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 麻生内閣総理大臣は、三月九日午後の参議院予算委員会で修正答弁をし、同夜、マスコミに対して午前中の答弁は撤回した旨発言したと報じられている。とすれば政府においても、漆間内閣官房副長官がマスコミとの懇談の場において「自民党には捜査が及ばない」との発言をしたと報じられていることは報道機関の誤報ではないという認識でよいか。

二 漆間内閣官房副長官は、同月九日の記者会見で、内閣官房副長官就任以来、検察当局の人と会ったことはない旨の発言をしている。政府も、同副長官が副長官就任以来、検事総長以下の検察当局の誰とも会っていないという認識であるか。仮にそのような認識であるならば、その点をどのように調査をして確認しているか。

三 漆間内閣官房副長官は、かつて警察庁長官時代の記者懇談会で、「基本的には私は、北朝鮮に対して小泉前総理のころから(政府は)対話と圧力で対応すると言ってきたのですが、その圧力部分を担当するのが警察であると認識しておりまして」(平成十八年十一月三十日)、「日朝間で話し合いをしなければならないという気に、北朝鮮をさせるように持っていくのが警察庁の仕事ではないか」、「北朝鮮の資金源というものについて、『ここまでやられるのか』ということを相手が感じるぐらいにそれを事件化して」、「北朝鮮が困ると言いますか、特に金の問題が一番大きいですから、そのようなものに焦点を当てて、そのような事件を摘発する」、「直接拉致には関係はしない事件を摘発することによっても拉致問題の解決に近づける」(平成十九年一月十八日)などと発言している。
 こうした警察庁長官時代の発言をみれば、警察権力を北朝鮮外交にまで利用しようとしていると思わざるを得ない。警察を政治的に利用しようという、かかる発言を政府は容認しているか。また、警察を政治的に利用しようという考え方を政府は有しているか。

四 もともと漆間内閣官房副長官は、警察権力を政治的に利用しようという考え方の持ち主ではないかとの疑いが濃厚であり、そうした人物が内閣官房副長官に就任することは問題ではないかと思うが、政府はどのように考えているか。

  右質問する。