第171回国会(常会)
質問第八〇号 照射食品に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成二十一年三月十一日 大河原 雅子
参議院議長 江田 五月 殿 照射食品に関する質問主意書 平成十八年十月三日、内閣府は厚生労働省に対して原子力委員会が決定した「食品照射専門部会報告書「食品への放射線照射について」について」を通知した。その後厚生労働省は三菱総合研究所(以下「三菱総研」という。)に二千九百九十二万五千円を支払い「食品への放射線照射についての科学的知見等についての取りまとめに関する調査業務」を委託している。調査内容は「オリジナル文献、世界各国の規制および運用調査、統計資料、食品安全行政として検討が必要と思われる情報の収集、また、食品業者・消費者等へのニーズ調査など」で、三菱総研ではほぼ報告書が出来上がっていると聞いている。厚生労働省はこの報告書を薬事・食品衛生審議会に諮ると聞いた。緊急を要する問題であることから、以下質問する。 一 三菱総研への業務委託について 1 業務委託の目的は何か。 2 報告を受けた後、厚生労働省はどのように審議していく予定か方針を示されたい。 3 三菱総研に委託する際収集すべき資料についてどのような基準を示したのか。また、その基準はどのような観点から定めたものか見解を示されたい。 4 厚生労働省は三菱総研に委託した調査内容について、専門家に相談したか。したのであればそれは誰であるか。 二 シクロブタノン類について 1 シクロブタノン類が動物細胞やヒト細胞の遺伝子を傷つけるという実験データはあるのか。実験データがある場合、その内容はどのようなものか。 2 パスツール大学によって行われた、シクロブタノン類に発がん補助作用があるという実験は承知しているか。承知している場合、実験内容はどのようなものか。 3 シクロブタノン類の問題は一九八〇年のIAEA・FAO・WHOの合同専門家委員会の照射食品の報告以降にわかった新しい知見か。 4 シクロブタノン類の発がん性の有無を確認した実験報告はあるのか。また、シクロブタノン類の発がん性に関する実験データの収集はできているか。収集済みであれば、その実験結果はどのようなものであったか。 5 シクロブタノン類の慢性毒性に関する論文は収集できているのか。収集済みであれば、論文の出典を明らかにされたい。 6 消費者団体「照射食品反対連絡会」より「シクロブタノン類の発がん実験を行うように」という申し入れがされているが、この実験は行われたのか。行われていないならばその理由は何か。 7 厚生労働省はシクロブタノン類の発がん性や慢性毒性の実験を行う予算要求をしたことがあるか。予算要求をしたことがあれば、それは何年度にいくらの金額を要求したのか、また、予算要求をしたことがないのであれば、なぜしなかったのか理由を明らかにされたい。 8 照射馬鈴薯が食品衛生調査会で審議されたときの審議資料に準じて三菱総研に資料の収集を依頼したのか。 また、照射馬鈴薯は、審議資料の基準がないまま食品衛生調査会で審議が行われたのか。 9 照射食品の審議に使う資料にシクロブタノン類の慢性毒性や発がん性実験データがないまま薬事・食品衛生審議会に諮ると判断したのは事実か。事実である場合、シクロブタノン類の慢性毒性や発がん実験データがなくてもよいとした理由は何か。 また、薬事・食品衛生審議会が不足した審議資料の追加を要求しなければ、用意しないというのは厚生労働省の判断か。 三 スパイスについて 1 スパイスの個々の品目について審議する資料はそろっているのか。 2 スパイスは菌に汚染され中毒等の危険があることが照射の理由の一つとされているが、日本においてスパイスによる食中毒事件は何件あるのか。 3 厚生労働省におけるスパイスの定義はあるか。 四 違法に照射された食品が流通しているなか、照射食品が認められた場合、「線量オーバー」や「重複照射」などを厚生労働省はチェックできるか。 五 原子力委員会の「食品照射専門部会報告書「食品への放射線照射について」について」によれば、厚生労働省に対し「有用性が認められる食品への照射に関する検討・評価」についての取組を求めているが、厚生労働省は有用性の基準をどのようなものとしているか。 六 日本では米、小麦、馬鈴薯、タマネギ、ミカン、水産練り製品、ウインナーソーセージ類が照射したい品目として実験が行われているが、要望があれば薬事・食品衛生審議会に諮るのか。 右質問する。 |