質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第六一号

教育現場におけるアレルギー疾患への対応に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年二月二十三日

谷岡 郁子   


       参議院議長 江田 五月 殿



   教育現場におけるアレルギー疾患への対応に関する質問主意書

 アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどのアレルギー疾患は、かねてより国民の健康にかかわる重要な問題であり、特に子どもたちの健全な成長にとっては切実な問題となっている。
 アレルギー疾患には、花粉症のように新たに登場するものもあり、その患者数は年々増大している。また、食物アレルギーなどに伴うアナフィラキシーショックという生命の危険につながるものもあれば、アトピー性皮膚炎のように学業における集中力をそぐなど慢性的に日常生活に影響を与えるものもあり、その症状と個々人の生活への影響は様々である。そして、アレルギー疾患を持つ患者とその家族には、体質改善など長期にわたる対応が求められている。同時に、教育現場においても、児童・生徒の健全な成長のためにアレルギー疾患への適切な対応を早急かつ慎重に行うことが求められており、教育行政にあっては、現場で対応しなければならない教員のニーズに合わせた支援が求められている。
 二〇〇七年四月に文部科学省が公表した「アレルギー疾患に関する調査研究報告書」においても、そのリスクと教育現場における対応の必要性が指摘され、二〇〇八年には各学校にアレルギー疾患に対応する際のガイドラインが配布された。しかし、既に現場の教員からは不十分な点や不安の声も聞かれている。アレルギー疾患の中には生命の危険につながるものもあることから、常に現場でこの問題に取り組む教員の声には耳を傾け、問題点を洗い出し、現場本位の支援をより一層充実させていく必要があると考える。
 よって以下質問する。

一 政府は、子どもたちのアレルギー疾患に対して、どの程度、問題意識を持っているのか、基本的な認識を示されたい。

二 二〇〇七年四月公表の「アレルギー疾患に関する調査研究報告書」の後、二〇〇八年には文部科学省が監修した「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」が各学校に配布されているが、これを含めて政府としてどのような対策を実施したのか、予算措置を含めて対応を明らかにされたい。

三 右ガイドラインでは食物アレルギーを持つ児童・生徒に対して、給食の別メニューを用意するなどの対応を示しているが、それを実施するための施設や予算の裏付けがないとの指摘もある。右ガイドラインに沿った対応を行うために、政府はどのような予算措置、人的基盤や設備の拡充を用意しているのか、示されたい。

四 アレルギー疾患については、様々な物質がアレルゲンとなる可能性がある。そのため、学校で取り扱う薬物等については、特に慎重でなければならない。しかし、例えばフッ素洗口の推進者がいる地域では、フッ素の問題点などについての正しい情報が伝えられていない中で保護者の同意が求められ、その同意に基づいて学校での集団フッ素洗口が行われている。現在、児童・生徒のむし歯被患率は減少していることからフッ素洗口を集団で行う必要性は低くなっており、さらには、専門家の間でもフッ素洗口について賛否両論があることを考えると、学校でアレルギー疾患の対応を進めていくこととも矛盾していると考えられる。アレルギー疾患への対応上、児童・生徒の健康のためにも「疑わしいものは用いない」という原則が採用されるべきと考えるが、現時点で政府は集団フッ素洗口についてどのように考えているのか、見解を示されたい。

  右質問する。