質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第五三号

かんぽの宿等の売却に関する第三回質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年二月十九日

川上 義博   


       参議院議長 江田 五月 殿



   かんぽの宿等の売却に関する第三回質問主意書

 先に私が提出した、かんぽの宿等の売却に関する再質問に対する答弁書(内閣参質一七一第三五号)を受け取った。しかし、この答弁書によっても、今回のかんぽの宿等の売却に関して、なお疑問点が残ることから、以下、更に質問する。

一 本答弁書では、日本郵政株式会社がかんぽの宿等七十施設を一括売却する方針を決定したことについて、総務省は、日本郵政株式会社から平成二十年一月二十五日に情報の提供を受けたとしている。
 しかし、平成二十一年一月二十八日の民主党・総務部門会議において、日本郵政株式会社は、平成二十年十一月二十五日、十二月五日及び同月二十二日に総務省に対し売却手続について相談した旨報告している。
 平成二十年十二月二十六日まで、総務省は何ら指導・監督をしていないにもかかわらず、本年二月四日以降に報告を求めた理由は何か。

二 首都圏社宅九施設のうち、ゆうぽうとの従業員はどこの社宅に居住しているのか。
 また、日本郵政株式会社の宿泊事業部門でメルパルクを担当している従業員は、現在この九社宅に居住していないとの答弁だが、将来的にもこの九社宅に居住する可能性はないのか。可能性があるならば、今回の売却の対象としたことは不適切であると考えるが、政府の見解を示されたい。

三 今回の事業譲渡の対象となっていた従業員の数を各施設及び事業本部別に明らかにされたい。

四 規制改革・民間開放推進会議第一次答申の中では、「いまだに国、独立行政法人等が管理・運営する既存の公的宿泊施設等については、民間との競合や非効率性を一刻も早く解消すべく、廃止、売却等の民間委譲、又は包括的な民間委託を速やかに図るべきである」とされている。ここでいう「公的宿泊施設等」には、かんぽの宿は含まれていないと解釈しているのか。含まれていないと解釈している場合、かんぽの宿が、郵政省、簡易保険福祉事業団、日本郵政公社及び日本郵政株式会社により運営されてきたことをどう考えているのかを含め、その理由を明らかにされたい。

五 「百年に一度」と言われる経済の危機的状況において、総務省は、日本郵政株式会社に対し、平成二十年四月一日の売却方針について、売却の中止、一時凍結等、何らかの指導を行ったのか。行わなかった場合、その理由を明らかにされたい。

六 「六について」の答弁について

1 第一次入札における入札額のうち、「百七十五億円から二百二十億円まで」及び「百九十五億円から二百四十五億円まで」とはどういう意味か不明である。より詳細に説明されたい。
2 オリックス不動産株式会社は、第一次入札において「百九十五億円から二百四十五億円までと提示した」にもかかわらず、最終入札において百八億八千六百万円を入札額としたのはなぜか。ゆうぽうと世田谷レクセンターを売却対象から除外したこととの関係を含め、明らかにされたい。
3 応募した二十七社のうち、五社はなぜ第一次入札への参加を認められなかったのか。第一次入札への参加を認められた二十二社のうち、十五社がなぜ入札を行わなかったのかとあわせて明らかにされたい。
4 かんぽの宿等の「継続的な経営」とはどの程度の期間を想定していたのか。平成二十一年二月十日の参議院総務委員会において佐々木英治日本郵政株式会社専務執行役は、二年間の転売禁止条項がオリックス不動産株式会社との契約書に設けられていると答弁している。同条項によれば、二年間経過すれば、かんぽの宿等を転売し、事業を継続しなくともよいこととなる。「継続的な経営」とは二年程度で差し支えないことをすべての応募企業に周知していたのか。

七 当時の竹中平蔵郵政民営化担当大臣は、自らの著書『構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌』(日本経済新聞社刊 平成十八年十二月)において、「メルパルクホールや簡保の宿など、本来の仕事つまりコア業務ではない(したがって競争力もない)ものは、資産を処分して撤退するべきだと判断した。」(百七十七ページ)、「後で準備室の幹部に言われたことだが、大臣が法案作成にこれだけ直接かつ詳細に係わったのは前代未聞のことだったようだ。通常は、官僚任せの仕事なのである。(中略)後に民営化法案をめぐって記録的長時間の国会審議を行うことになるが、その厳しい質問に耐えられたのも、私自身が法案作りに直接かつ詳細に係わっていたからであった。」(百八十ページ)と述べている。これは、平成二十一年二月十日の参議院総務委員会においても取り上げられた。この記述及び平成二十一年二月五日の衆議院予算委員会における振角秀行内閣官房郵政民営化推進室長の答弁から、かんぽの宿等の譲渡又は廃止の発案者は竹中大臣であったと考えてよいか。
 また、かんぽの宿等の日本郵政公社からの承継先として日本郵政株式会社が適当と判断した理由を明らかにされたい。

八 郵便局株式会社が売却した沖縄県那覇市おもろまち二丁目の不動産について、平成十一年に郵政省が取得した際の価格はいくらだったのか。
 郵便局株式会社による売却に応募した十社のうち、オリックス・アルファ株式会社以外の九社が入札額を提示しなかった理由は何か。一社しか入札しなくとも競争入札といえるのか。

九 国営の金融機関が民営化された場合、諸外国においてはどのような外資規制が行われているのか。
 日本においてもNTTについては外資規制があるが、日本郵政グループについてはどうか。外資規制を行っているのか、行っていない場合はその理由を明らかにされたい。

十 郵政民営化前は竹中郵政民営化担当大臣がアメリカの保険組合の幹部と数十回会っていたとのことである。民営化後、かんぽ生命保険会社の役員等はアメリカの保険関係者と会談したことはあるか。
 また、ゆうちょ銀行の役員等はアメリカの金融関係者と会談したことはあるか。政府の把握しているところを示されたい。

  右質問する。