質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第四一号

国家公務員の給与振込手数料に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年二月十二日

田中 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿



   国家公務員の給与振込手数料に関する質問主意書

 社会的公正と経済的自由を同時に達成し、混迷する日本にダイナミズム(=躍動感)を取り戻す。
 これは、昨年一〇月三日の参議院本会議における代表質問で述べた、新党日本代表の私、田中康夫の哲学であり、使命である。こうした観点に立ち、国家公務員の給与振込手数料の現状については、以下のような認識を持っている。
 政府は、「e-Japan戦略Ⅱ加速化パッケージ」、「e-Japan重点計画-二〇〇四」等に基づき国家公務員の給与の全額振込化を推進している。
 こうした中、国家公務員の給与振込は人事院規則等により、国庫から日本銀行が、日本銀行代理店である金融機関に振り込むものとされ、その手数料を日本銀行が支払うものの、手数料の詳細に関し、日本銀行は公表するに至っていない。
 然らば政府は、国家公務員の給与の全額振込化を推進するに当たり、その手数料のあり方について、財政上無駄のない制度にすべきであり、また、手数料会計についての情報公開が求められるところである。
 日本銀行は、国庫から送金する際の送金手数料を現行、一件当たり一〇〇円プラス税、即ち一〇五円と定めている。国家公務員の給与振込に関しても同様に、送金一件当たり、一律一件一〇五円と定めているが、これは日本銀行が「文書扱い」で送金する際の手数料金額であり、「電信扱い」で送金する場合は一件一〇円プラス税で送金可能である。
 各省庁への給与振込に係る振込手数料が、省庁ごとにいくらであるか、日本銀行へ照会したところ、送金の総額を把握するのみで、国家公務員給与に関する送金額、ならびに手数料の勘定は分離されていないため不明との回答を得ている。
 加えて、国家公務員が給与を受け取る口座は、公務員一人当たり一口座に限定せず、第一口座、第二口座、第三口座等の複数口座への振込を可能としている省庁も散見される。職員一人が複数の振込先を指定可能とすれば、日本銀行が支払う給与振込経費も相当程度増大せざるを得ぬ状況と思料される。
 仮令、日本銀行が政府行政組織から独立した存在であるとして、国庫支払金の手数料のあり方について、その実態を的確に政府は把握すると共に、不断の検討を重ねて、経費節減を実現することが強く求められている。
 日本銀行法第五三条(剰余金の処分)は、剰余金から法定の積立金と法定の配当金額を控除した残金額を、日本銀行は国庫に納付しなければならないと定めており、即ち、給与送金手数料の見直しで手数料が減額されたなら、国庫の歳入増も達成される。
 他方で、国家公務員の給与振込手数料の決定方法は、人事院規則等にも明確な規定はなく、日本銀行への照会においても、判然としない状況にある。裁量行政的要素を廃し、合理的方法を導入すべきであり、即ち、より廉価な電信扱いに統一すべきである。さらには、給与振込手数料の支出を削減すべく、その手数料を受益者負担とし、国庫支出をゼロにする方策も鋭意、検討されるべきと考える。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 国家公務員等の給与振込手数料の実態について

1 「e-Japan戦略Ⅱ加速化パッケージ」、「e-Japan重点計画-二〇〇四」等に基づき、国家公務員の給与の全額振込化を推進している政府は、職員一人当たりの振込先口座の数について、具体的かつ統一的な基準を定めているか否か、明らかにされたい。また、各省庁において、職員一人当たりの振込先口座をいくつまで指定可能としているか、省庁ごとに示されたい。会計検査院の検査対象組織についても、同様に示されたい。
2 国家公務員の給与の振込に関し、振込先口座の総数、第一口座の数、第二口座の数(第三口座等、さらに複数口座を指定可能な場合、回答においては、当該口座を第二口座に含めるものとする。)等の実態を、省庁ごとに示されたい。会計検査院の検査対象組織についても、同様に示されたい。
3 国家公務員の給与の振込に際し、発生する手数料について、毎月の振込で日本銀行が支払う経費は総額でいくらに達するか、各省庁の調べから明らかにされたい。具体的に、最近の実例である平成二一年一月の実績並びに、最近の賞与の際の実績について、振込口座件数、職員数、手数料金額について示されたい。
4 年間の振込手数料総額の推移について、過去二〇年間分、各省庁別に示されたい。また、振込口座を複数認めることに関し、各省庁ごとの導入の経緯、根拠となる法令・規則等について、明らかにされたい。さらに、複数口座を利用することができるよう認められることによる口座数の増加と手数料支出の増加の状況について、示されたい。

二 給与振込手数料のあり方に係る政府の取組と認識について

1 給与振込手数料のあり方に関する政府における担当部署及び責任者を示されたい。
2 当該事項に関する検討状況について、これまでの検討の経過及び見直しの方針や課題等について見解を示されたい。
3 政府の予算編成、行政改革関係会議、政府の無駄を見直す各種会議等における、国家公務員給与振込手数料のあり方についての議論、検討の有無、並びに具体的検討内容について示されたい。

三 国家公務員給与の振込手数料支出額に関する、情報公開の現状と公開に向けた政府における検討状況、さらには今後の取組計画について、具体的に見解を示されたい。

四 国家公務員給与振込について

1 パブリック・サーヴァントの観点に立ち、給与振込手数料は受益者負担とし、職員給与から控除し日本銀行経費からの支払いをゼロにすべきと考えるが、導入に向けての検討状況を含めて、見解を示されたい。さらには、導入に当たっての問題点があれば、具体的に示されたい。また、かかる制度を導入した場合、日本銀行から国庫への納付額はいくら増加するか示されたい。
2 文書扱いの給与振込を改め、その全てを電信扱いとし、経費を節減するべきと考える。直近の実例である平成二一年一月の実績で、仮に電信扱いにした場合、経費はいくら節減できるか示されたい。また、それに伴う、日本銀行から国庫への納付はいくら可能であるか示されたい。
3 職員一人当たりの給与振込口座数が複数存在し得ることに伴う日本銀行経費からの支払い手数料の増加、延いては日本銀行経費が増加している実態を、いかに政府は理解しているか見解を示されたい。また、経費の無駄を排するために、この問題に関し、政府としてどう取り組む予定か、具体的見解を示されたい。

  右質問する。