質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第二八号

「アフガニスタン東・パキスタン西プロジェクト」構想に基づくわが国のアフガニスタン支援に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年二月五日

犬塚 直史   


       参議院議長 江田 五月 殿



   「アフガニスタン東・パキスタン西プロジェクト」構想に基づくわが国のアフガニスタン支援に関する質問主意書

 私は、先月二十日の参議院予算委員会において、わが国のアフガニスタン支援の一つのアイデアを紹介した。すなわち、アフガニスタン政府と武装集団等との抗争停止合意の形成に向けた環境整備の一環として、アフガニスタンとパキスタン両国の国境地帯に小さな経済特区をつくり、アフガニスタンの地域復興開発省(MRRD)を中心に教育支援、農業支援などを行う「アフガニスタン東・パキスタン西プロジェクト(AEPW)」構想に基づき、わが国が支援を行うというものである。本プロジェクトについてはNATO、米軍、国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)、タリバン関係者などと昨年末から年初にかけて面会した際に私から提案し賛同を得ている。その上で、本プロジェクトの実現に向け、中曽根弘文外務大臣に対し、今年度第二次補正予算からの本プロジェクトに対する資金拠出についての検討を求めた。また、今月二日の参議院本会議での政府四演説に対する代表質問において、広中和歌子議員が、麻生太郎内閣総理大臣及び中曽根外務大臣に対し、本プロジェクトへの政府の評価と対応について見解を求めた。
 しかし、両大臣からは、いずれの答弁においても、両国の国境地域の安定が持つ重要性についての政府の認識は述べられたものの、本プロジェクトについては、まず具体的な内容を把握した上で、検討すべきものである旨の認識が述べられるにとどまり、具体的な対応についての回答はなかった。
 そこで、両大臣の答弁にあるように、まずは本プロジェクトの内容を把握してもらうことが先決であると考え、その内容を説明すると、次のとおりとなる。
 第一に、本プロジェクトは、「アフガニスタンとパキスタンをまたがる連邦直轄部族地域(FATA)の一部に政治・軍事的中立領域として停戦(CH)ゾーンを確立し、経済特区(SEZ)に発展させ、即効プロジェクト(QIP)として地域文化重視のエンパワメント・プログラムを実施する」ことを目的としている。
 第二に、本プロジェクトは、(一)アフガニスタン東部とパキスタン西部にまたがるデュランド・ライン周辺の一部地域を対象にCHゾーン設置を合意する、(二)合意されたCHゾーン内のNATO軍及びパキスタン国軍の駐留領域を非武装地帯(DMZ)とし、NATOの長期的出口戦略策定の機会を醸成する、(三)信頼醸成措置(CBM)の実施とともにゾーン内のNATO軍・アフガン国軍(ANA)・パキスタン国軍(PNA)を国際軍事監視団(IMOG)に置き換える、(四)ANA・PNAと地元辺境部隊(FC)間の連絡調整にCBMを用いる、(五)MRRDの国家連帯計画(NSP)及びパキスタン当局の経験に基づきアフガニスタン法秩序支援信託基金(LOFTA)から拠出してコミュニティ・エンパワメント・プログラム(CEP)を実施する、以上の手順を踏んで実施することとしている。
 第三に、本プロジェクトに対するわが国の財政負担は、今年度補正予算分として、(一)実現可能性調査に一億円、(二)東京プレッジ会議(アフガニスタン・パキスタン両国首脳参加)開催に一億円の合計二億円、二〇〇九年度予算分として、(一)NSPに基づいたCEPに三十八億円、(二)コミュニティベースの治安維持当局支援(LOFTAから拠出)に十億円、(三)クロスボーダーでのMRRD研修支援に二億円、(四)IMOG支援に二億円の合計五十二億円を見込んでいる。
 ここで説明した内容に沿ってわが国がアフガニスタンに対して支援を行い、抗争停止合意の実現へと近づけていくことが重要であると考えることから、以下質問する。なお、政府においては、各質問項目に対し、誠実に答弁されたい。

一 抗争停止合意の推進に、ここで私が提案しているような形でわが国が係わることの是非について、政府の見解を示されたい。

二 提案している内容に沿って実務者会合の開催について現地関係者からの希望としてわが国に要請があった場合、政府はこれに応えて東京会議を主催する意思があるか。

三 提案している内容に沿った形での抗争停止合意促進が現地関係者からの希望としてわが国に寄せられた場合、政府は本プロジェクトの実現可能性調査を行う意思があるか。

四 提案しているプレッジ会議の開催が現地関係者の希望としてわが国に寄せられた場合、政府はこれに応えてそうした会議を主催する意思があるか。

  右質問する。