質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第二一号

諫早湾潮受堤防の開門等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年一月二十九日

松野 信夫   


       参議院議長 江田 五月 殿



   諫早湾潮受堤防の開門等に関する質問主意書

 国営諫早湾土地改良事業、すなわち諫早湾干拓事業が有明海の漁業に被害を及ぼしたとして、漁民らが潮受堤防の開門を求めた「よみがえれ!有明訴訟」において、佐賀地方裁判所は二〇〇八年六月二十七日、潮受堤防排水門の開放を命じる判決を出したが、国は同年七月十日に控訴した。その過程で、農林水産大臣と法務大臣との間で協議がなされたのであるが、当時の鳩山邦夫法務大臣は昨年十月に発行されたNPO法人地球船クラブの機関誌「地球船」七号にその経緯を記した寄稿文を発表した。この寄稿文の中に以下の記述がある。
 私は農水省に対して意見を述べた。要は有明海全域の生態系が重要なので、何らかの開門調査が必要であり、それを農水省が約束しない限り私は控訴しないと。
 農水大臣が二度法務大臣室にみえて、徹底的に話し合い、基本的に私の考えを了解してくれた。
① 農水大臣は開門調査をする腹を決めて、そのためのアセスを実施する。各地の漁業者の意見をよく聞いて、開門の方法を決める。
② タイラギ、クチゾコ、ムツゴロウ、ハゼクチ、キス、メカジャ、アゲマキなど、有明海で激減している水産資源を徹底的に調査して、その再生のために万全の措置をとる。
 この二点の約束をとりつけた上で、私は福岡高裁への控訴の手続きをとったのである。
 こうした寄稿文に関する事実と解釈を明確にしておくことは、今後の有明海再生について重要なことである。
 よって以下質問する。

一 前記寄稿文には、控訴手続きをめぐって、農林水産大臣と法務大臣との協議は二度なされたとあるが、二度の協議はいつ、どこで行われて、それぞれの協議の場には、両大臣以外にどのような立場の公務員が同席していたか。

二 両大臣による二度の協議の経過及び結果は、どのような形で記録され、内容の確認がなされているか。今回の二度の協議について、文書で記録されている場合はその文書名を明らかにされたい。

三 政府は、鳩山元法務大臣が指摘している前記二点の約束は、これを遵守すべきものという認識であるか。

四 仮に遵守すべきものであるということであれば、具体的に何をどのような手順で実施するのか。開門調査をする前提として環境アセスメントを実施するということでよいか。また開門の方法については、関係各地の漁業者から意見を直接、聴取する予定があるか。

  右質問する。